径可変型ステントリトリーバーを使用し血栓回収を行った重症脳静脈洞血栓症の一例

重症脳静脈洞血栓症に対して径可変型ステントリトリーバーによる機械的血栓回収療法を行った症例を報告する.73歳女性,脳静脈血栓症の抗凝固療法中に右片麻痺,痙攣発作,進行する意識障害を発症した.上矢状静脈洞から両横静脈洞の閉塞を認め,径可変型ステントリトリーバーと吸引カテーテルによる機械的血栓回収療法を行った.脳静脈洞血栓症に対する血管内治療は標準治療に対して優越性は証明されていないが,重症脳静脈洞血栓症に対する機械的血栓回収療法を実施したケースシリーズが複数報告されている.従来の自己拡張型ステントリトリーバーは回収時に静脈血管内皮細胞損傷による静脈再血栓化を生ずる可能性があるため,回収時にステン...

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Published in脳卒中 Vol. 47; no. 4; pp. 255 - 261
Main Authors 八木橋, 彰憲, 石井, 匡, 髙萩, 周作, 佐藤, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2025
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Summary:重症脳静脈洞血栓症に対して径可変型ステントリトリーバーによる機械的血栓回収療法を行った症例を報告する.73歳女性,脳静脈血栓症の抗凝固療法中に右片麻痺,痙攣発作,進行する意識障害を発症した.上矢状静脈洞から両横静脈洞の閉塞を認め,径可変型ステントリトリーバーと吸引カテーテルによる機械的血栓回収療法を行った.脳静脈洞血栓症に対する血管内治療は標準治療に対して優越性は証明されていないが,重症脳静脈洞血栓症に対する機械的血栓回収療法を実施したケースシリーズが複数報告されている.従来の自己拡張型ステントリトリーバーは回収時に静脈血管内皮細胞損傷による静脈再血栓化を生ずる可能性があるため,回収時にステントを弛緩させる径可変型ステントリトリーバーは回収時の血管壁への負荷は抑えられており安全かつ有効なデバイスと考える.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11306