リンパ浮腫の集中排液治療における弾性ストッキングの有用性—着圧(界面圧)からの考察

集中排液期で弾性ストッキングを用いた報告は少ない.われわれは浮腫減少と左右肢周径差(浮腫率)の改善について弾性ストッキングの有用性を共同研究による先行論文で示した.本報告は共同研究の着圧データ(圧勾配,重ね履きなど)から有用性を考察することにある.対象は続発性下肢リンパ浮腫20人.1週毎計4回の各回マッサージ後の周径とリンパ機能から弾性ストッキングを選定・装着し着圧を測定した.治療前と1週後の下肢の体積は6402 mLから6025 mLに減少し(P<0.001),浮腫率はリンパ管機能障害が小さいほど改善がみられた.正規化した着圧分布は再現性がみられた.重ね履きの効果は1.2~1.7倍であ...

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Published in静脈学 Vol. 29; no. 3; pp. 315 - 321
Main Authors 橋本, 紘吉, 松田, 奈菜絵, 戸崎, 綾子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 11.07.2018
Subjects
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.17-25

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Summary:集中排液期で弾性ストッキングを用いた報告は少ない.われわれは浮腫減少と左右肢周径差(浮腫率)の改善について弾性ストッキングの有用性を共同研究による先行論文で示した.本報告は共同研究の着圧データ(圧勾配,重ね履きなど)から有用性を考察することにある.対象は続発性下肢リンパ浮腫20人.1週毎計4回の各回マッサージ後の周径とリンパ機能から弾性ストッキングを選定・装着し着圧を測定した.治療前と1週後の下肢の体積は6402 mLから6025 mLに減少し(P<0.001),浮腫率はリンパ管機能障害が小さいほど改善がみられた.正規化した着圧分布は再現性がみられた.重ね履きの効果は1.2~1.7倍であった.因子を重症度とし着圧を予測する数理モデルは予測実測値に高い相関があり(R=0.9881)最適な着圧の弾性ストッキング選定の標準化ができることを示唆した.弾性ストッキングの有用性は部位と治療回数によらない安定した着圧であった.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.17-25