原発性上咽頭結核の1例

[背景] 上咽頭結核は, 抗結核薬の登場後いったんは激減したが, 近年になり診断法の発達とともにその報告例は少数ながらも増加傾向にある。今回, われわれは, 肺に結核病変のない原発性上咽頭結核の1例を経験した。 [症例] 症例は74歳の女性。めまい, 左側頸部腫瘤を主訴とし, 当院の耳鼻科を受診。鼻咽腔ファイバーにて, 上咽頭に隆起性病変が認められ, 同部位の生検より乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が検出された。全身検索の結果, 肺に結核病変は認められず, 原発性上咽頭結核と診断した。抗結核薬による化学療法 (INH, RFP, EB) を施行し, 投与4カ月後には内視鏡上, 病変部の改善が認め...

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Published in結核 Vol. 78; no. 12; pp. 751 - 755
Main Authors 木下, 隆, 大下, 祐一, 力丸, 徹, 相澤, 久道, 嶋田, 亜希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.12.2003
Subjects
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.78.751

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Summary:[背景] 上咽頭結核は, 抗結核薬の登場後いったんは激減したが, 近年になり診断法の発達とともにその報告例は少数ながらも増加傾向にある。今回, われわれは, 肺に結核病変のない原発性上咽頭結核の1例を経験した。 [症例] 症例は74歳の女性。めまい, 左側頸部腫瘤を主訴とし, 当院の耳鼻科を受診。鼻咽腔ファイバーにて, 上咽頭に隆起性病変が認められ, 同部位の生検より乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が検出された。全身検索の結果, 肺に結核病変は認められず, 原発性上咽頭結核と診断した。抗結核薬による化学療法 (INH, RFP, EB) を施行し, 投与4カ月後には内視鏡上, 病変部の改善が認められた。 [考察] 文献的に, 本邦での上咽頭結核は20~40歳代の女性に多く, 本症例は高齢者であり, また, 頸部リンパ節結核の合併もみられ稀な症例と考えられた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.78.751