中学校結核集団感染の環境要因に関する検討

[目的] 建築物の環境が結核集団感染におよぼす影響を検討する。 [対象と方法] 中学校で発生した集団感染の接触者718人を対象に, 初発患者との接触状況別に感染率を比較した。6フッ化硫黄をトレーサーガスとして用い, 教室の換気状況を測定した。 [結果] 接触者から34人の結核患者が発見され, 155人に予防内服が指示された。同クラス生徒での感染率は90.0%であり, 初発患者と直接接触のないグループからも11人の発病があった。校舎の窓はアルミサッシで閉めきられており, 教室の換気回数は1.6~1.8回/hrと少なかった。教室の引き戸を開けた状態では, 教室と廊下のガス濃度は急速に撹拝された。...

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Published in結核 Vol. 78; no. 12; pp. 733 - 738
Main Author 豊田, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.12.2003
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.78.733

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Summary:[目的] 建築物の環境が結核集団感染におよぼす影響を検討する。 [対象と方法] 中学校で発生した集団感染の接触者718人を対象に, 初発患者との接触状況別に感染率を比較した。6フッ化硫黄をトレーサーガスとして用い, 教室の換気状況を測定した。 [結果] 接触者から34人の結核患者が発見され, 155人に予防内服が指示された。同クラス生徒での感染率は90.0%であり, 初発患者と直接接触のないグループからも11人の発病があった。校舎の窓はアルミサッシで閉めきられており, 教室の換気回数は1.6~1.8回/hrと少なかった。教室の引き戸を開けた状態では, 教室と廊下のガス濃度は急速に撹拝された。 [考察] 初発患者がHighly Infectious Caseであったことに, 過密して換気の少ない教室の環境が重なり, 同クラス生徒の高い感染率につながった。間接的な接触者にも感染が拡大した要因としては, 初発患者が時間割によって3年校舎の1, 2階の共用教室を使っていたことや, 感染性飛沫核が休み時間中に廊下に拡散し, 初発患者の教室が3年校舎の入り口に位置したため, 3年校舎に出入りする者の動線と交わったことが考えられ。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.78.733