H-ZSM-5ゼオライト上でのオレフィンの水素化

H-ZSM-5ゼオライトのオレフィン水素化能を調べるため, 1段目の反応管にZn-Cr系メタノール合成触媒, 2段目の反応管にH-ZSM-5 ゼオライトを充てんした2段反応装置を用いて, メタノールを経由する合成ガスからの炭化水素合成を検討した。1段目の反応圧を40kg/cm2とし, 2段目の反応圧を5~45kg/cm2と変化させたときの結果をFig. 1に示す。2段目の反応圧が20kg/cm2以上では, エタン, プロパンは生成したが, エチレン, プロピレンは全く生成しなかった。このことは, これらパラフィンがH-ZSM-5ゼオライト上で水素化あるいは水素移行反応により生成したことを示唆し...

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Published in石油学会誌 Vol. 29; no. 1; pp. 89 - 92
Main Authors 佐野, 庸治, 萩原, 弘之, 岡部, 清美, 岡戸, 秀夫, 斉藤, 健二, 高谷, 晴生
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 01.01.1986
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Summary:H-ZSM-5ゼオライトのオレフィン水素化能を調べるため, 1段目の反応管にZn-Cr系メタノール合成触媒, 2段目の反応管にH-ZSM-5 ゼオライトを充てんした2段反応装置を用いて, メタノールを経由する合成ガスからの炭化水素合成を検討した。1段目の反応圧を40kg/cm2とし, 2段目の反応圧を5~45kg/cm2と変化させたときの結果をFig. 1に示す。2段目の反応圧が20kg/cm2以上では, エタン, プロパンは生成したが, エチレン, プロピレンは全く生成しなかった。このことは, これらパラフィンがH-ZSM-5ゼオライト上で水素化あるいは水素移行反応により生成したことを示唆している。この違いを明らかにするためC2H4-H2, C2H4-Heの2種類の混合ガスをH-ZSM-5ゼオライトに導入した (Fig. 2)。C2H4-H2系では, エタン収率は反応温度と共に著しく増大し, 545°Cでは導入したエチレンの95%がエタンとして検出された。一方, 水素移行反応によるパラフィン生成の可能性を調べるため行ったC2H4-He系では, 550°Cで導入したエチレンの10%がエタンとして検出された。したがって, C2H4-H2系で生成したエタンの大部分はエチレンの水素化により生成したことになる。 また, Fig. 3には, 不純物の影響を調べるため, Feを導入したZSM-5型ゼオライトを用いて合成ガスの転化反応を行った結果を示す。Fe(II) より調製したZSM-5型ゼオライトの生成物はオレフィン指向であった。Fe(II) とAlより調製し, プロトン化した酸点をもつH-ZSM-5型ゼオライトの生成物はパラフィン指向であった。 以上の結果より, H-ZSM-5ゼオライトはオレフィン水素化能を有していると結論した。
ISSN:0582-4664
DOI:10.1627/jpi1958.29.89