Thoracic aorta mural thrombus(TAMT)による同時多発塞栓症の1例
Thoracic aorta mural thrombus(TAMT)による同時多発塞栓症の1例を経験した。TAMTは近位下行大動脈に多発性にあり,脳梗塞と上腸間膜動脈塞栓症を同時発症していた。緊急開腹手術壊死腸管切除の3週間後,オープンステントグラフト(OS)留置術を行い良好な結果を得た。症例はその後順調に経過し,脳梗塞の大きな後遺障害なく退院した。TAMTの治療指針は未だ確立していないが,文献的考察によると塞栓症再発は30%程度に認められ外科的介入を要する症例も多いが,大動脈弓部周辺のTAMTに対しては,TEVARが有効な治療手段となる。しかし,TEVARには手技による塞栓症の危惧があり,...
Saved in:
Published in | 脈管学 Vol. 57; no. 4; pp. 59 - 62 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脈管学会
2017
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-1126 1880-8840 |
DOI | 10.7133/jca.16-00025 |
Cover
Summary: | Thoracic aorta mural thrombus(TAMT)による同時多発塞栓症の1例を経験した。TAMTは近位下行大動脈に多発性にあり,脳梗塞と上腸間膜動脈塞栓症を同時発症していた。緊急開腹手術壊死腸管切除の3週間後,オープンステントグラフト(OS)留置術を行い良好な結果を得た。症例はその後順調に経過し,脳梗塞の大きな後遺障害なく退院した。TAMTの治療指針は未だ確立していないが,文献的考察によると塞栓症再発は30%程度に認められ外科的介入を要する症例も多いが,大動脈弓部周辺のTAMTに対しては,TEVARが有効な治療手段となる。しかし,TEVARには手技による塞栓症の危惧があり,血栓の大きい症例などではOSは治療選択肢の一つとなりうる。 |
---|---|
ISSN: | 0387-1126 1880-8840 |
DOI: | 10.7133/jca.16-00025 |