黄体形成ホルモン(LH)の大量放出によるラット発情周期黄体のProgesterone (P)分泌能の調節

抗羊LH家兎血清(aLH)による受動免疫実験によって,正常四日周期ラットでは,発情後期(M)8時以後に分泌される基底値のLHにより発情周期黄体の退行が招来されることが明らかにされている。本研究では,LHの大量放出が観察される発情前期(PE)の19時に, LH作用のあるhCG或るいはaLHを単一静脈内投与し0た四日周期ラットの発情周期黄体のP分泌能について検討した。対照ラットの末梢血中のP濃度は,発情期(E)4時からM23時にかけて増加し,発情休止期(D)18時には低値に減少した。PE19時にhCG(1.25或るいは5IU)を投与すると,排卵数(黄体数)には変化がなく,用量依存性にMにおけるP濃...

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Published in家畜繁殖学雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 41 - 53
Main Authors 金山, 敦, 武藤, 顕一郎, 汾陽, 光盛, 橋本, 〓, 奥平, 剛
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本繁殖生物学会 1990
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ISSN0385-9932
DOI10.1262/jrd1977.36.41

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Summary:抗羊LH家兎血清(aLH)による受動免疫実験によって,正常四日周期ラットでは,発情後期(M)8時以後に分泌される基底値のLHにより発情周期黄体の退行が招来されることが明らかにされている。本研究では,LHの大量放出が観察される発情前期(PE)の19時に, LH作用のあるhCG或るいはaLHを単一静脈内投与し0た四日周期ラットの発情周期黄体のP分泌能について検討した。対照ラットの末梢血中のP濃度は,発情期(E)4時からM23時にかけて増加し,発情休止期(D)18時には低値に減少した。PE19時にhCG(1.25或るいは5IU)を投与すると,排卵数(黄体数)には変化がなく,用量依存性にMにおけるP濃度が減少し,且つD期間の延長が観察された。PE19時にaLH(0.3ml)を投与してLHの大量放出を減弱した場合にも,同様な成績が得られた。PEにhCG SIUを投与したラットでは,正常四日周期ラットの場合よりも24時間早いE8時からaLH(0.1ml)を連日腹腔内投与すると,EからDにおけるP濃度が著増し,対照ラットよりも有意に高い値となった。電子顕微鏡観察により,PEにhCGSIUを投与したラットの黄体細胞は,早くもM23時には退行途上にあり,一方aLH(0.3ml)投与によりLHの大量放出を減弱したラットの黄体細胞は,M23時においても未だ黄体形成が不十分であることが判明した。以上の如く,排卵後に分泌される基底値のLHは黄体を退行させるよう作用していることが確認され,LHの大量放出は,新生発情周期黄体のP分泌能を高めるよう作用すると同時に,基底値のLHの黄体退行作用に対する黄体の感受性の発現時期を調節していることが示唆された。また,LHの大量放出の頂値が観察されるPE19時にhGCを投与すると,黄体からのP分泌が抑制されるにも拘らずD期間が延長することから,LHの大量放出は,次回の排卵のための卵胞の発育とそのエストロジェン分泌の調節にも関与している可能性が示唆された。
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.36.41