腎細胞癌術後,甲状腺転移をきたした1例

症例は71歳女性。X年右腎癌に対して腹腔鏡下右腎摘出術を施行し,淡明細胞癌と診断された。X+1年腸腰筋局所再発に対してラジオ波焼灼術を行い,X+2年多発肺転移,肝転移を認め,分子標的薬治療をすすめるも治療を拒否しそのまま経過観察となっていた。X+8年単純CTで甲状腺右葉の結節を指摘され,X+9年増大傾向にあるため当科紹介受診となった。頸部超音波検査で甲状腺右葉に約3cm大の形状不整な腫瘤を認め,細胞診では良性の結果であったが,腎細胞癌甲状腺転移も含めた甲状腺癌が否定できなかったため甲状腺右葉切除術を施行した。病理結果は腎細胞癌の甲状腺転移であった。腎細胞癌術後で甲状腺腫瘍を認めた際には転移の可...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 274 - 280
Main Authors 高畠, 大典, 澁谷, 祐一, 大石, 一行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2021
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.38.4_274

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Summary:症例は71歳女性。X年右腎癌に対して腹腔鏡下右腎摘出術を施行し,淡明細胞癌と診断された。X+1年腸腰筋局所再発に対してラジオ波焼灼術を行い,X+2年多発肺転移,肝転移を認め,分子標的薬治療をすすめるも治療を拒否しそのまま経過観察となっていた。X+8年単純CTで甲状腺右葉の結節を指摘され,X+9年増大傾向にあるため当科紹介受診となった。頸部超音波検査で甲状腺右葉に約3cm大の形状不整な腫瘤を認め,細胞診では良性の結果であったが,腎細胞癌甲状腺転移も含めた甲状腺癌が否定できなかったため甲状腺右葉切除術を施行した。病理結果は腎細胞癌の甲状腺転移であった。腎細胞癌術後で甲状腺腫瘍を認めた際には転移の可能性を考慮する必要がある。比較的稀な症例であり,本邦における腎細胞癌の甲状腺転移例をまとめて報告する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.38.4_274