解剖学的剝離層を意識しながら内頸静脈側から始める頸部郭清術

甲状腺癌の手術において外側区域リンパ節郭清が適応であれば,甲状腺切除と中央領域の郭清が終了した後に内頸静脈から外側へ,鎖骨下静脈から頭側に向かって行っている。甲状腺癌の場合,一般的にはリンパ節に転移した病巣が節外や周囲組織に浸潤することは少なく,頸部の筋肉,血管,神経を温存しつつ深頸領域の外側区域リンパ節を含む領域の脂肪組織を切除する保存的外側区域頸部郭清術を行う。外側区域の脂肪組織は,薄い結合組織の膜,浅・中頸筋膜と深頸筋膜に挟まれ包まれており,この膜構造を温存,利用しつつ周囲臓器との間を剝離することによって必要な範囲の郭清を正確に行いながら,温存した組織を損傷しない手術とすることができる。...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 242 - 246
Main Authors 宮内, 昭, 宮, 章博, 木原, 実, 小野田, 尚佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2021
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.38.4_242

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Summary:甲状腺癌の手術において外側区域リンパ節郭清が適応であれば,甲状腺切除と中央領域の郭清が終了した後に内頸静脈から外側へ,鎖骨下静脈から頭側に向かって行っている。甲状腺癌の場合,一般的にはリンパ節に転移した病巣が節外や周囲組織に浸潤することは少なく,頸部の筋肉,血管,神経を温存しつつ深頸領域の外側区域リンパ節を含む領域の脂肪組織を切除する保存的外側区域頸部郭清術を行う。外側区域の脂肪組織は,薄い結合組織の膜,浅・中頸筋膜と深頸筋膜に挟まれ包まれており,この膜構造を温存,利用しつつ周囲臓器との間を剝離することによって必要な範囲の郭清を正確に行いながら,温存した組織を損傷しない手術とすることができる。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.38.4_242