学童期小児の運動器(骨と筋肉)発達に及ぼす生活習慣因子の影響
近年児童に頻発する骨折や運動器の機能低下の原因を究明するため,運動器である骨と筋肉に焦点を絞り,超音波骨密度計(AOS-100SA),InBody430,ロコモチェックテストなどで骨密度,体組成(筋肉分布や体脂肪率など)を測定し,生活習慣因子との関連を検討した. 対象者は4 年生から6 年生の学童合計167 名(男54 名・女113 名).身長・体重・血圧は全員標準値の範囲内であった.体型割合は,痩せ,標準,肥満の順に,男15.6%,75.0%,9.4%,女16.1%,66.6%,17.3%だった.骨密度(OSI)は4 年,5 年,6 年の順に,男2.27,2.23,2.55,女2.37,2....
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Published in | 人間生活文化研究 Vol. 2016; no. 26; pp. 479 - 484 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
大妻女子大学人間生活文化研究所
01.01.2016
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Subjects | |
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ISSN | 2187-1930 |
DOI | 10.9748/hcs.2016.479 |
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Summary: | 近年児童に頻発する骨折や運動器の機能低下の原因を究明するため,運動器である骨と筋肉に焦点を絞り,超音波骨密度計(AOS-100SA),InBody430,ロコモチェックテストなどで骨密度,体組成(筋肉分布や体脂肪率など)を測定し,生活習慣因子との関連を検討した. 対象者は4 年生から6 年生の学童合計167 名(男54 名・女113 名).身長・体重・血圧は全員標準値の範囲内であった.体型割合は,痩せ,標準,肥満の順に,男15.6%,75.0%,9.4%,女16.1%,66.6%,17.3%だった.骨密度(OSI)は4 年,5 年,6 年の順に,男2.27,2.23,2.55,女2.37,2.38,2.43 とすべて正常範囲内で学年が上がるにつれ上昇した.ロコモチェックした126 名のうち男62.5%,女44.8%に運動器機能低下が疑われ,特に前屈やしゃがむ能力が低かった.生活習慣アンケートに回答のあった29 名においての検討では,骨密度(OSI)と骨Z スコアは,現在の運動頻度(r=0.398*/r=0.435*)と運動量(/r=0.407*),野菜摂取頻度(r=0.411*/ r=0.400*),骨SOS は海藻摂取頻度(r=0.438*)と有意な正の相関を示した.骨密度(OSI)と骨SOS は筋肉量(r=0.478*)と正の,体脂肪率(r=-0.404*)と負の相関を示した.余暇にスポーツ(r=0.736**)を行うほど,塾の回数が多い程,睡眠時間が短い程,骨SOS は高かった.ロコモ合計点数が高い程,体幹と四肢の体脂肪率が高かった.また,両脚と右腕の筋肉発達率が高いと四肢の体脂肪率が低下した(r=-0.414*~r=0.676**).骨密度(OSI)と骨BUA が高い程,風邪をひきにくく(r=-0.43*/ r=-0.532**),環境因子として近所に公園が存在(r=-0.44*)していた. 今後は,対象者数を増やすことと運動器機能評価を多角的な方向から検討してゆきたい. |
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ISSN: | 2187-1930 |
DOI: | 10.9748/hcs.2016.479 |