歯の喪失と咀嚼能力の関係について (農村地区における調査)

本調査では, 高齢者の多い農村地区において口腔の健康状態を把握するとともに, 咀嚼能力と喪失歯数との関係を明らかにすることを目的とした。 岡山県西部に位置する川上町の住民168名 (58.1±13.9歳, 男性57名, 女性111名) を対象に, 歯科健診および聞き取り調査を行った。歯科健診では4人の検者が喪失歯数, 齲蝕, 歯周状態および義歯の種類とその使用状況について診査した。聞き取り調査の主な内容は, 代表的な食品の咀嚼可能の有無と義歯に関しての不満等であった。 その結果, 1. 無歯顎者の割合は, 60歳以降急増し, また, 被検者全体の62%の者が義歯を使用していた。 2. 義歯を使...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 森田, 学, 平岩, 弘, 小泉, 和浩, 正村, 眞佐雄, 渡邊, 達夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 1991
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Summary:本調査では, 高齢者の多い農村地区において口腔の健康状態を把握するとともに, 咀嚼能力と喪失歯数との関係を明らかにすることを目的とした。 岡山県西部に位置する川上町の住民168名 (58.1±13.9歳, 男性57名, 女性111名) を対象に, 歯科健診および聞き取り調査を行った。歯科健診では4人の検者が喪失歯数, 齲蝕, 歯周状態および義歯の種類とその使用状況について診査した。聞き取り調査の主な内容は, 代表的な食品の咀嚼可能の有無と義歯に関しての不満等であった。 その結果, 1. 無歯顎者の割合は, 60歳以降急増し, また, 被検者全体の62%の者が義歯を使用していた。 2. 義歯を使用しているうちの20%が咀嚼能力の不満を, 14%が義歯の不安定を訴えた。 3. 種々の食品のうち噛めない物として「スルメ」, 「酢ダコ」, 「煎餅」等揚げられた。スルメを噛めると答えた声と噛めないと答えた群とに分けて比較したところ, 平均残存歯数はそれぞれ17.1本と12.1本であった。 4. 臼歯の大部分が喪失しているにもかかわらず義歯を使用している者のほうが使用していない者よりも, 咀嚼の困難を訴える傾向がみとめられた。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.41.35