Nivolumab投与中止後14カ月を経て認められた急性副腎不全の1例

肺腺癌および糖尿病にて他院通院中の77歳女性が, 意識障害で搬送された。入院時採血にて低血糖を認め, ブドウ糖静注にて速やかに意識レベルは改善し, 清明となった。患者に糖尿病治療薬の使用歴はなく, 入院時の採血にてCortisolの低値を認め, 副腎クリーゼと考えられた。肺線癌に対しては, 入院21カ月前からNivolumabが投与されていたが, 浮腫のため入院14カ月前から中止となっていた。三者負荷試験を行い, ACTH単独欠損症と診断された。また, 下垂体造影MRIではとくに異常所見は認められなかった。以上より, ACTH単独欠損症の原因はNivolumabによる免疫関連有害事象と考えた。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 87 - 90
Main Authors 上石, 稜, 畠山, 淳司, 山本, 太平, 小林, 祐介, 菊野, 隆明, 多賀, 匠, 鈴木, 亮, 尾本, 健一郎, 藤沢, 篤夫, 太田, 慧, 渡瀬, 瑛, 本間, 佐和子, 室谷, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.42.4_87

Cover

More Information
Summary:肺腺癌および糖尿病にて他院通院中の77歳女性が, 意識障害で搬送された。入院時採血にて低血糖を認め, ブドウ糖静注にて速やかに意識レベルは改善し, 清明となった。患者に糖尿病治療薬の使用歴はなく, 入院時の採血にてCortisolの低値を認め, 副腎クリーゼと考えられた。肺線癌に対しては, 入院21カ月前からNivolumabが投与されていたが, 浮腫のため入院14カ月前から中止となっていた。三者負荷試験を行い, ACTH単独欠損症と診断された。また, 下垂体造影MRIではとくに異常所見は認められなかった。以上より, ACTH単独欠損症の原因はNivolumabによる免疫関連有害事象と考えた。入院日よりステロイド投与を行い, 以降低血糖は認められず, 入院25日目に軽快退院となった。NivolumabによるACTH単独欠損症は投与中止から長期間を経ても発症する可能性があり, 注意が必要である。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.42.4_87