腹腔鏡下子宮全摘術における 予期せぬ腟パイプ誤挿入による直腸損傷リスクの一例

腹腔鏡下子宮全摘術(Total laparoscopic hysterectomy; TLH)における腟パイプの誤挿入は稀だが,認識されないまま手術が進行すると重大な合併症を引き起こす可能性がある.本稿では、腟パイプが肛門を経由して直腸内に誤挿入された68 歳,閉経女性の症例を報告する.子宮体癌(類内膜癌,Grade 1)IB 期に対し腹腔鏡下に根治術を施行.術者が異常を察知し切開を中断したことで直腸損傷を回避できたが,腟前壁と後壁の二重切開が生じた.術後,直腸腟瘻等の消化管合併症もなく経過している.本報告では、TLH における腟パイプ誤挿入のリスクと,適切な挿入確認および術中対応の重要性につ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in岩手医学雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 79 - 84
Main Authors 村上 一行, 永沢 崇幸, 庄子 忠宏, 利部 正裕, 馬場 長 長, 城内 南奈子, 海道 善隆, 尾上 洋樹, 髙取 恵里子, 佐藤 翔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.08.2025
Online AccessGet full text
ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.77.2_79

Cover

More Information
Summary:腹腔鏡下子宮全摘術(Total laparoscopic hysterectomy; TLH)における腟パイプの誤挿入は稀だが,認識されないまま手術が進行すると重大な合併症を引き起こす可能性がある.本稿では、腟パイプが肛門を経由して直腸内に誤挿入された68 歳,閉経女性の症例を報告する.子宮体癌(類内膜癌,Grade 1)IB 期に対し腹腔鏡下に根治術を施行.術者が異常を察知し切開を中断したことで直腸損傷を回避できたが,腟前壁と後壁の二重切開が生じた.術後,直腸腟瘻等の消化管合併症もなく経過している.本報告では、TLH における腟パイプ誤挿入のリスクと,適切な挿入確認および術中対応の重要性について考察する.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.77.2_79