名古屋大学における副腎皮質癌の診療の実際-内分泌外科の立場から

副腎皮質癌は予後不良な悪性腫瘍であり,難解な手術手技に加えて転移再発症例やcStage Ⅳ症例に対する集学的治療,ミトタン投与のマネージメントなど多岐にわたる診療が必要とされ,内分泌外科医の果たす役割は大きい。当科において,2004年から2020年の間に外科的切除を施行した副腎皮質癌は13例であり,年齢中央値68歳,男性3例で女性10例,右7例で左6例であった。開放手術10例(開胸開腹9例,開腹1例)で,腹腔鏡手術3例であった。病期分類はStage Ⅰが3例,Ⅱが3例,Ⅲが5例,Ⅳが1例であり,術後補助療法として7例にミトタンを投与した。7例に転移再発を認め,5例が無再発経過中である。副腎皮質...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 270 - 275
Main Authors 添田, 郁美, 高野, 悠子, 武内, 大, 角田, 伸行, 柴田, 雅央, 稲石, 貴弘, 一川, 貴洋, 菊森, 豊根
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2020
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.37.4_270

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Summary:副腎皮質癌は予後不良な悪性腫瘍であり,難解な手術手技に加えて転移再発症例やcStage Ⅳ症例に対する集学的治療,ミトタン投与のマネージメントなど多岐にわたる診療が必要とされ,内分泌外科医の果たす役割は大きい。当科において,2004年から2020年の間に外科的切除を施行した副腎皮質癌は13例であり,年齢中央値68歳,男性3例で女性10例,右7例で左6例であった。開放手術10例(開胸開腹9例,開腹1例)で,腹腔鏡手術3例であった。病期分類はStage Ⅰが3例,Ⅱが3例,Ⅲが5例,Ⅳが1例であり,術後補助療法として7例にミトタンを投与した。7例に転移再発を認め,5例が無再発経過中である。副腎皮質癌は予後不良の疾患であり,完全切除を目指した手術手技や,集学的治療に対する幅広い知識を習得することが肝要である。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.37.4_270