肝移植患者における hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase inhibitorsの 腎保護効果に関する検討
肝移植の拒絶予防に用いるカルシニューリン阻害薬は移植成績を向上させたが,腎毒性が問題となる.腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害薬(HIF-PHI)に注目し,腎機能への影響を検討した.肝移植を施行し,基準を満たす50名で,腎機能障害(CKD G3以上)かつ貧血を認めた患者に対し,HIF-PHIが使用された患者14名(HP群)と,HP群に分類されず,腎機能が追跡可能であった患者36名(non-HP群)を対象とした.HP群では投与前(pre-HP)と比較して投与開始後6カ月(post-HP)でeGFRが有意に改善した[33.5 ml/min/1.72m2(27.6-53.6)vs. 46.5(36...
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Published in | 岩手医学雑誌 Vol. 76; no. 2; pp. 61 - 73 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
岩手医学会
01.06.2024
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ISSN | 0021-3284 2434-0855 |
DOI | 10.24750/iwateishi.76.2_61 |
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Summary: | 肝移植の拒絶予防に用いるカルシニューリン阻害薬は移植成績を向上させたが,腎毒性が問題となる.腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害薬(HIF-PHI)に注目し,腎機能への影響を検討した.肝移植を施行し,基準を満たす50名で,腎機能障害(CKD G3以上)かつ貧血を認めた患者に対し,HIF-PHIが使用された患者14名(HP群)と,HP群に分類されず,腎機能が追跡可能であった患者36名(non-HP群)を対象とした.HP群では投与前(pre-HP)と比較して投与開始後6カ月(post-HP)でeGFRが有意に改善した[33.5 ml/min/1.72m2(27.6-53.6)vs. 46.5(36.3-58.8),p = 0.049].対照的に,non-HP群では移植後の3年間で緩やかな増悪がみられた(p < 0.001).HIF-PHIは貧血を改善しながら,腎保護効果を示すことが示唆され,CKDと貧血をもつ肝移植患者に対する有用な治療の選択肢としての可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0021-3284 2434-0855 |
DOI: | 10.24750/iwateishi.76.2_61 |