スタウプリミドは骨髄腫細胞株においてIRF4の発現抑制とJNKの活性化を介して増殖と生存を抑制する

多発性骨髄腫は,難治性の形質細胞性腫瘍であり,治癒が困難であるため新規薬剤の開発が求められている.スタウプリミドは転写因子non-metastatic cells 2と結合し,c-Mycの転写を抑制する.c-Mycは骨髄腫細胞の生存に重要な転写因子であるためスタウプリミドの抗骨髄腫細胞効果を検討した.骨髄腫細胞株KMS-28PEとRPMI 8226において,スタウプリミドは増殖を抑制しアポトーシスを誘導した.また,細胞周期解析ではG2/M期停止を誘導した.KMS-28PEではインターフェロン制御因子4(IRF-4)およびc-Mycの発現を抑制し,caspase 3の活性化を認めた.さらに,pr...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 95 - 106
Main Authors 清原, 千貴, 伊藤, 薫樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 岩手医学会 01.08.2022
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Summary:多発性骨髄腫は,難治性の形質細胞性腫瘍であり,治癒が困難であるため新規薬剤の開発が求められている.スタウプリミドは転写因子non-metastatic cells 2と結合し,c-Mycの転写を抑制する.c-Mycは骨髄腫細胞の生存に重要な転写因子であるためスタウプリミドの抗骨髄腫細胞効果を検討した.骨髄腫細胞株KMS-28PEとRPMI 8226において,スタウプリミドは増殖を抑制しアポトーシスを誘導した.また,細胞周期解析ではG2/M期停止を誘導した.KMS-28PEではインターフェロン制御因子4(IRF-4)およびc-Mycの発現を抑制し,caspase 3の活性化を認めた.さらに,protein kinase C α(PKCα)のリン酸化を阻害し,c-Jun N-terminal kinase(JNK)の活性化とc-Junの発現を誘導した.以上から,スタウプリミドは骨髄腫細胞において,IRF-4の発現およびPKCαのリン酸化を抑制,JNKの活性化を介して増殖を抑制し,カスパーゼ依存性にアポトーシスを誘導することが示唆された.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.74.3_95