臨床 心室中隔欠損が自然閉鎖をした三尖弁閉鎖症の1例

三尖弁閉鎖症(TA)における心室中隔欠損(VSD)の自然閉鎖はきわめてまれである.われわれは心臓カテーテル検査時VSDが証明され,剖検時VSDの閉鎖が確認された3歳9ヵ月のTAを経験したので報告する. 患児は生後1ヵ月頃より心不全をくり返し入院をくり返していたが,上気道感染を誘因とする肺出血で死亡した. 心血管造影所見上d-loop,l-transpositionと思われたが,実際にはd-loop,d-transpositionで,この原因は心の高度拡大のために心が時計方向に回転していたいわゆる“ループの法則”のみかけ上の例外にあたると思われた. TAにおけるVSDの自然閉鎖の確認の報告は文献...

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Published in心臓 Vol. 8; no. 9; pp. 974 - 980
Main Authors 田内, 宣生, 鈴木, 千鶴子, 川村, 正彦, 牧, 貴子, 長嶋, 正実, 岩井, 直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1976
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.8.9_974

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Summary:三尖弁閉鎖症(TA)における心室中隔欠損(VSD)の自然閉鎖はきわめてまれである.われわれは心臓カテーテル検査時VSDが証明され,剖検時VSDの閉鎖が確認された3歳9ヵ月のTAを経験したので報告する. 患児は生後1ヵ月頃より心不全をくり返し入院をくり返していたが,上気道感染を誘因とする肺出血で死亡した. 心血管造影所見上d-loop,l-transpositionと思われたが,実際にはd-loop,d-transpositionで,この原因は心の高度拡大のために心が時計方向に回転していたいわゆる“ループの法則”のみかけ上の例外にあたると思われた. TAにおけるVSDの自然閉鎖の確認の報告は文献上外国における3例のみである.いままでの報告例とともに若干の文献的考察を加えた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.8.9_974