ティッシュコンディショナー硬化物のレオロジー的性質とその評価

ティッシュコンディショナー硬化物について,レオロジー的性質(客観的測定結果)と歯科医師の指感覚(圧覚)による官能検査結果(主観的測定結果)との間に,どのような関連があるかについて調べ検討した. 使用した材料は,市販のティッシュコンディショナー4種類で,粉液比はメーカ指示の標準粉液比をはさんで5種類(P/L=0.95/1, 0.975/1, 1/1, 1.025/1, 1.05/1)とした.各材料はプラスチックカップを用いて15秒間練和し,ガラス板上に置かれたステンレスモールド中に移し硬化させた.練和開始から1時間後に離型し,試験片とした.試験片は吸水試験用,クリープ試験用の2つのグループにわけ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 1.2; pp. 18 - 28
Main Authors 梶原, 英治, 井上, 勝一郎, 鱒見, 進一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:ティッシュコンディショナー硬化物について,レオロジー的性質(客観的測定結果)と歯科医師の指感覚(圧覚)による官能検査結果(主観的測定結果)との間に,どのような関連があるかについて調べ検討した. 使用した材料は,市販のティッシュコンディショナー4種類で,粉液比はメーカ指示の標準粉液比をはさんで5種類(P/L=0.95/1, 0.975/1, 1/1, 1.025/1, 1.05/1)とした.各材料はプラスチックカップを用いて15秒間練和し,ガラス板上に置かれたステンレスモールド中に移し硬化させた.練和開始から1時間後に離型し,試験片とした.試験片は吸水試験用,クリープ試験用の2つのグループにわけた.クリープ測定は,離型直後のもの, 37℃水中に浸漬し,浸漬開始から24時間,96時間,168時間保存したものについて行った.クリープ荷重は200gとし計測時間は300秒とした. 官能検査は,プラスチックカップを用いて5種類の粉液比でそれぞれ15秒間練和したペーストをアクリル板上に移し,練和開始から1時間後にその硬化物に触れる形で行った.検査項目は,硬さ,弾性回復,流動性,表面性状,の4項目である. その結果,粉液比の対数と各検査項目の結果を対数表示したものとの間には一部を除いて高い相関関係が見られた.主観的測定結果と客観的測定結果との間には,Stevensのベキ級数の法則が適用でき,歯科医師は,臨床経験から適切な性質を材料の弾性からではなく粘性によって識別していることも判明した.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.62.18