九州新幹線の高架を利用するヒナコウモリVespertilio sinensisの出産哺育集団の確認

1 熊本県宇城市と八代郡氷川町で,2022年と2023年に九州新幹線の高架を利用するヒナコウモリの出産哺育集団が確認された.九州における本種の出産哺育集団の報告は,今回が3例目であった. 2 氷川町では,出産直前の2023年5月下旬から6月上旬に計2,200個体以上が確認された.これは,九州でこれまで知られている中では,最大の出産哺育集団であった.3 氷川町では,生後数日とみられる幼獣が2023年6月9日に計5個体確認され,出産は6月上旬から始まることが示唆された.4 成獣と幼獣の個体数の変動から,両地点の集団は4月上旬から飛来し始め,4月下旬から5月上旬には成獣の個体数がピークになり,6月上...

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Published in熊本野生生物研究会誌 Vol. 12; pp. 37 - 45
Main Author 前田, 史和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 熊本野生生物研究会 13.06.2024
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Summary:1 熊本県宇城市と八代郡氷川町で,2022年と2023年に九州新幹線の高架を利用するヒナコウモリの出産哺育集団が確認された.九州における本種の出産哺育集団の報告は,今回が3例目であった. 2 氷川町では,出産直前の2023年5月下旬から6月上旬に計2,200個体以上が確認された.これは,九州でこれまで知られている中では,最大の出産哺育集団であった.3 氷川町では,生後数日とみられる幼獣が2023年6月9日に計5個体確認され,出産は6月上旬から始まることが示唆された.4 成獣と幼獣の個体数の変動から,両地点の集団は4月上旬から飛来し始め,4月下旬から5月上旬には成獣の個体数がピークになり,6月上旬から7月上旬にかけて出産哺育が行なわれ,7月下旬から8月中旬には両地点からいなくなるという利用のスケジュールが考えられた.
ISSN:1883-7883
2758-5964
DOI:10.57558/kumayaken.12.0_37