MRI で診断し得た副咽頭間隙内歯ブラシ異物の1例

今回われわれは, 副咽頭間隙に刺入した歯ブラシ異物を内視鏡下に摘出し得た1例を経験したので報告する。 57歳男性, 歯ブラシを咥えた状態で転倒し受傷した。 視診では右軟口蓋に裂創を認めるのみであったが歯ブラシの先端が消失していたため, CT 検査を施行した。 副咽頭間隙には脂肪織の混濁と気腫を認めるのみで明らかな異物は確認できなかった。 抗菌薬投与にて経過観察となったが, その後も咽頭痛が改善しなかったため3日後に MRI 検査を施行した。 MRI では副咽頭間隙に歯ブラシ様の dot 状変化を認め, 歯ブラシ異物と診断した。 異物除去を目的に, 全身麻酔下にて内視鏡下での経口的アプローチによ...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 61; no. 4; pp. 216 - 221
Main Authors 木村, 亮平, 結束, 寿, 濱, 孝憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.2018
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Summary:今回われわれは, 副咽頭間隙に刺入した歯ブラシ異物を内視鏡下に摘出し得た1例を経験したので報告する。 57歳男性, 歯ブラシを咥えた状態で転倒し受傷した。 視診では右軟口蓋に裂創を認めるのみであったが歯ブラシの先端が消失していたため, CT 検査を施行した。 副咽頭間隙には脂肪織の混濁と気腫を認めるのみで明らかな異物は確認できなかった。 抗菌薬投与にて経過観察となったが, その後も咽頭痛が改善しなかったため3日後に MRI 検査を施行した。 MRI では副咽頭間隙に歯ブラシ様の dot 状変化を認め, 歯ブラシ異物と診断した。 異物除去を目的に, 全身麻酔下にて内視鏡下での経口的アプローチによる異物摘出術を施行し安全に異物を摘出し得た。 歯ブラシ異物は単純 X 線検査や CT 検査では描出されないことがあり, 症例によっては MRI 検査を施行する必要があると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.61.4_216