地熱発電所冷却塔蒸気を対象とした着氷予測モデルの開発

寒冷地における地熱発電所では、冷却塔から排出される蒸気により周辺樹木に着氷影響が生じる可能性があり、環境影響評価を実施する際には、必要に応じてその影響範囲を定量的に予測することが重要となる。そこで本研究では、地熱発電所における着氷現象に係る観測結果に基づき、着氷厚さの成長速度(着氷成長率)を予測できる着氷予測モデルを開発し、その妥当性確認を行った。予測モデルは、正規分布を仮定したプルーム式に基づくものであり、観測値との比較から、地形影響などを考慮して冷却塔排気プルームの拡散幅を適切に設定することで、排気の拡散を精度よく再現できることを明らかにした。また、着氷の成長には一定の時間を要することから...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 57; no. 3; pp. 90 - 100
Main Authors 木村, 啓, 菅野, 洋, 岡田, 真秀, 佐藤, 歩, 瀧本, 浩史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 30.03.2022
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki.57.90

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Summary:寒冷地における地熱発電所では、冷却塔から排出される蒸気により周辺樹木に着氷影響が生じる可能性があり、環境影響評価を実施する際には、必要に応じてその影響範囲を定量的に予測することが重要となる。そこで本研究では、地熱発電所における着氷現象に係る観測結果に基づき、着氷厚さの成長速度(着氷成長率)を予測できる着氷予測モデルを開発し、その妥当性確認を行った。予測モデルは、正規分布を仮定したプルーム式に基づくものであり、観測値との比較から、地形影響などを考慮して冷却塔排気プルームの拡散幅を適切に設定することで、排気の拡散を精度よく再現できることを明らかにした。また、着氷の成長には一定の時間を要することから、24時間平均の着氷成長率を予測する方法を提案し、観測により得られた着氷成長率の時間変化をよく再現できることを示した。24時間平均した着氷成長率の水平断面分布は、拡散幅や予測モデルの設定の影響を受けにくく、環境影響評価において着氷影響の範囲を求める実用的な方法であることを示した。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.57.90