頭頸部悪性腫瘍における肺微小陰影の取り扱い

ヘリカルCTの導入により従来のコンベンショナルCTでは発見されなかった胸部の微小な陰影が見つかるようになり, 頭頸部悪性腫瘍の領域でも治療方針を決定する上で問題となっている. そこで今回われわれは, ヘリカルCTで発見された頭頸部悪性腫瘍における肺微小陰影の取り扱いについて検討した. 2003年1月より2004年3月までの間に頭頸部悪性腫瘍にて当科に入院し加療を行ったかあるいは外来にて放射線治療を行った108例を対象とした. 加療中に胸部ヘリカルCT撮影を行ったのは92例 (85%) であった. そのうち肺微小陰影が認められたのは14例 (15%), 明らかな肺転移が認められたのは18例 (2...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 108; no. 6; pp. 684 - 688
Main Authors 竹内, 英二, 片岡, 英幸, 長谷川, 賢作, 竹内, 裕美, 北野, 博也, 田口, 大藏, 硲田, 猛真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2005
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.108.684

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Summary:ヘリカルCTの導入により従来のコンベンショナルCTでは発見されなかった胸部の微小な陰影が見つかるようになり, 頭頸部悪性腫瘍の領域でも治療方針を決定する上で問題となっている. そこで今回われわれは, ヘリカルCTで発見された頭頸部悪性腫瘍における肺微小陰影の取り扱いについて検討した. 2003年1月より2004年3月までの間に頭頸部悪性腫瘍にて当科に入院し加療を行ったかあるいは外来にて放射線治療を行った108例を対象とした. 加療中に胸部ヘリカルCT撮影を行ったのは92例 (85%) であった. そのうち肺微小陰影が認められたのは14例 (15%), 明らかな肺転移が認められたのは18例 (20%), 肺所見が正常だったのは60例 (65%) であった. 肺微小陰影が認められた14例中, 微小陰影の増大を認めた例が5例あり, その後の経過観察でそれらはすべて肺転移であることが判明した. その結果, ヘリカルCTで肺微小陰影が見つかった場合, その陰影が悪性である確率は少なくとも36%以上あると考えられるので, 頭頸部悪性腫瘍患者においてヘリカルCTで肺微小陰影が発見された場合は十分注意して経過観察を行う必要があると考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.108.684