LDL抗酸化能に及ぼす加齢の影響
酸化した低比重リポ蛋白 (LDL) はマクロファージや平滑筋細胞に取り込まれ, 動脈硬化病変部に数多く認められる泡沫細胞を形成させることから, 動脈硬化の発症, 進展に深く関与する重要な因子と考えられている. 一方, 加齢に伴い, 血清脂質が増加することや生体内抗酸化酵素の活性が低下することが知られており, これはLDLの酸化を介して動脈硬化発症の機会を増すことが推察される. 本研究ではLDL抗酸化能に及ぼす加齢の影響に焦点をおき, その関連性を検討した. 健常成人306名 (男性169名, 女性137名) を対象にLDL抗酸化能を測定した結果, LDLの酸化平均 lag time は58.9...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 372 - 376 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.05.2001
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.38.372 |
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Summary: | 酸化した低比重リポ蛋白 (LDL) はマクロファージや平滑筋細胞に取り込まれ, 動脈硬化病変部に数多く認められる泡沫細胞を形成させることから, 動脈硬化の発症, 進展に深く関与する重要な因子と考えられている. 一方, 加齢に伴い, 血清脂質が増加することや生体内抗酸化酵素の活性が低下することが知られており, これはLDLの酸化を介して動脈硬化発症の機会を増すことが推察される. 本研究ではLDL抗酸化能に及ぼす加齢の影響に焦点をおき, その関連性を検討した. 健常成人306名 (男性169名, 女性137名) を対象にLDL抗酸化能を測定した結果, LDLの酸化平均 lag time は58.9±1.0minであり, 20代で80.3±4.8minと最も長く, 40代で54.1±1.6minと最も短かった. 性差年齢階層別に比較すると, 20代男性が最も長く (88.9±6.2min), 40代女性は最も短い (50.7±2.2min) ことが認められ, 生化学検査で異常を認めた対象者を除外しても同様の結果が示された. 次に lag time に影響を与える因子に関して, 全例を対象に重回帰分析にて検討した結果, 年齢階層および尿酸 (UA), LDL-コレステロール (LDL-C) の各変数が有意となり, LDL抗酸化能は加齢および加齢に伴うLDL-Cの変動, さらには生体内抗酸化機能の増減に影響を受けていることが示唆された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.38.372 |