耳下腺ワルチン腫瘍の手術法
耳下腺ワルチン腫瘍の手術方針を, 当科の最近10年間の60症例の経験を基に検討した. 手術法として, 浅葉腫瘍には部分切除術が, 深葉腫瘍には核出術がなされた. 浅葉腫瘍でも顔面神経との接着面では, 被膜面での剥離がなされた. 術前自潰例や術中被膜損傷例を含めて再発は認められなかったことから, 腫瘍切除法として, 顔面神経の同定は必要であるものの, 部分切除術と同時に核出術も選択されうると考えた. ただし, ワルチン腫瘍の多発傾向の点で, 術前MRIによる十分な腫瘍の存在診断が必要と考えた. 術後顔面神経麻痺発生率は多発腫瘍例や深葉腫瘍例で高く, 層の愛護的な顔面神経処理操作が必要と考えた....
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 108; no. 6; pp. 679 - 683 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.06.2005
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.108.679 |
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Summary: | 耳下腺ワルチン腫瘍の手術方針を, 当科の最近10年間の60症例の経験を基に検討した. 手術法として, 浅葉腫瘍には部分切除術が, 深葉腫瘍には核出術がなされた. 浅葉腫瘍でも顔面神経との接着面では, 被膜面での剥離がなされた. 術前自潰例や術中被膜損傷例を含めて再発は認められなかったことから, 腫瘍切除法として, 顔面神経の同定は必要であるものの, 部分切除術と同時に核出術も選択されうると考えた. ただし, ワルチン腫瘍の多発傾向の点で, 術前MRIによる十分な腫瘍の存在診断が必要と考えた. 術後顔面神経麻痺発生率は多発腫瘍例や深葉腫瘍例で高く, 層の愛護的な顔面神経処理操作が必要と考えた. また, 両側にこうした腫瘍がある場合は, さらに慎重を期す必要があり, 一側ずつの手術も考慮に入れる必要があると考えた. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.108.679 |