老年者高コレステロール血症例における胸部大動脈硬化と頸動脈硬化 MRI, 超音波診断法による観察
高コレステロール血症が老年者の動脈硬化の発現に対する寄与の度合いを検討するために, 老年者高コレステロール血症例の胸部大動脈・頸動脈をMRI, 超音波診断法を用い, 非侵襲的に観察した. 年齢60歳以上の老年者53例を血清総コレステロール (TC) レベルにより, H群 (n=26, TC>220mg/dl), H-I群 (n=11, 220mg/dl<TC<250mg/dl), H-II群 (n=15, TC≧250mg/dl), NL群(n=27, 正脂血症例) に分類し検討した. 胸部大動脈硬化所見はNL群の37%に対し, H-I群27%, H-II群60%, H群46...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 28; no. 5; pp. 657 - 663 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.09.1991
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.28.657 |
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Summary: | 高コレステロール血症が老年者の動脈硬化の発現に対する寄与の度合いを検討するために, 老年者高コレステロール血症例の胸部大動脈・頸動脈をMRI, 超音波診断法を用い, 非侵襲的に観察した. 年齢60歳以上の老年者53例を血清総コレステロール (TC) レベルにより, H群 (n=26, TC>220mg/dl), H-I群 (n=11, 220mg/dl<TC<250mg/dl), H-II群 (n=15, TC≧250mg/dl), NL群(n=27, 正脂血症例) に分類し検討した. 胸部大動脈硬化所見はNL群の37%に対し, H-I群27%, H-II群60%, H群46%であり, 頸動脈硬化所見は, NL群の18%に対し, H-I群9%, H-II群27%, H群19%であった. H-I群ではNL群と同等, もしくは低率の動脈硬化所見発現率であったが, TC<250mg/dlの例をApo B/Apo A1≧1, Apo B/Apo A1<1の例にわけて検討すると, Apo B/Apo A1≧1の例では胸部大動脈硬化所見43%, 頸動脈硬化所見29%であり, Apo B/Apo A1<1の胸部大動脈硬化所見32%, 頸動脈硬化所見13%に比し高く, Apo B/Apo A1≧1の例では, TC<250mg/dlの例でも高率に動脈硬化所見を認めることが明らかとなった. 老年者の動脈硬化成立に対する脂質の関わりを検討する場合, コレステロールレベルのみの検討では不充分であり, Apo B/Apo A1を検討することが必要である. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.28.657 |