地域住民の心電図所見における加齢の影響

地域住民479例 (男性226例, 女性253例) を対象に心電図検診を行った成績では, 加齢によりRRは延長し, 心拍数は減少し, QTは延長した. 心電図のQRS電気軸は生後より10歳代迄で大となり, その後加齢と共に小となり, 左軸偏位に傾いた. PQは男性では30歳代迄, 女性で20歳代迄に比較的急速に延長し, それ以後軽度の延長にとどまり, この傾向は心拍数を1分間55~75に限っても同様であった. 男性ではPQと加齢との間でγ=0.582, RRと加齢との間でγ=0.638, QTと加齢との間でr=0.632の有意の正相関がみられ, 女性ではPQと加齢との間でr=0.593, RR...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 555 - 560
Main Author 齊藤, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1987
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.24.555

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Summary:地域住民479例 (男性226例, 女性253例) を対象に心電図検診を行った成績では, 加齢によりRRは延長し, 心拍数は減少し, QTは延長した. 心電図のQRS電気軸は生後より10歳代迄で大となり, その後加齢と共に小となり, 左軸偏位に傾いた. PQは男性では30歳代迄, 女性で20歳代迄に比較的急速に延長し, それ以後軽度の延長にとどまり, この傾向は心拍数を1分間55~75に限っても同様であった. 男性ではPQと加齢との間でγ=0.582, RRと加齢との間でγ=0.638, QTと加齢との間でr=0.632の有意の正相関がみられ, 女性ではPQと加齢との間でr=0.593, RRと加齢との間でr=0.471, QTと加齢との間でr=0.564の有意の正相関があった. 収縮期および拡張期血圧は男性では20歳代迄, 女性では10歳代迄急速に上昇し, それ以後加齢により軽度の上昇傾向であった. Sv1+Rv5は男女共5~9歳代に1つのピークを形成し, その後20~30歳代で減少し, それ以後加齢により再び増加する傾向であった. 但し, 80歳代の男性例では血圧は正常で, そのためかSv1+Rv5は小となっていた. 心電図の正常例は男女共加齢により減少し, Sv1+Rv5により判定された左室肥大は加齢により増加する傾向で, ST水平低下やT逆転も増加する傾向であった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.24.555