外耳道圧負荷検査による耳閉塞感の評価 小児滲出性中耳炎症例での検討

滲出性中耳炎の耳閉塞感は嚥下やバルサルバなどを喚起し, 自発的な中耳換気を促す重要な役割を担うと考えられるが, 小児ではその訴えが明確でなく, 耳閉塞感に対する感受性が低い可能性もある。さて, 耳閉塞感の成因は鼓膜の内陥, 緊張で発生した三叉神経への刺激感覚と考えられる。そこで当施設で考案した外耳道圧負荷検査を施行し, 鼓膜の表在感覚を計測することによって, 耳閉塞感の定性的評価が可能かを検討した。対象は7~12歳の滲出性中耳炎症例21名33耳 (耳閉塞感あり17耳, 16耳), 耳疾患のない小児12名24耳とし, 一部に耳管通気を行い, 耳閉塞感の動向と鼓膜の表在感覚の推移を観察した。本検討...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 48; no. 2; pp. 115 - 120
Main Authors 江崎, 嘉十, 坂田, 俊文, 加藤, 寿彦, 上野, 哲子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2005
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.48.115

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Summary:滲出性中耳炎の耳閉塞感は嚥下やバルサルバなどを喚起し, 自発的な中耳換気を促す重要な役割を担うと考えられるが, 小児ではその訴えが明確でなく, 耳閉塞感に対する感受性が低い可能性もある。さて, 耳閉塞感の成因は鼓膜の内陥, 緊張で発生した三叉神経への刺激感覚と考えられる。そこで当施設で考案した外耳道圧負荷検査を施行し, 鼓膜の表在感覚を計測することによって, 耳閉塞感の定性的評価が可能かを検討した。対象は7~12歳の滲出性中耳炎症例21名33耳 (耳閉塞感あり17耳, 16耳), 耳疾患のない小児12名24耳とし, 一部に耳管通気を行い, 耳閉塞感の動向と鼓膜の表在感覚の推移を観察した。本検討の結果, 耳閉塞感を自覚する能力は成人と同等で, 訴えにくい理由としては耳閉塞感に対する順応が一因であると推測された。また, 外耳道圧負荷検査で鼓膜の表在感覚を計測すれば, 耳閉塞感の定性的評価に有用と考えられた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.48.115