高齢者における起立時循環系反応の解析

65歳以上の高齢有疾患者32例 (高齢者群) および健常成人17例を対象として能動的起立試験を施行し, 血圧・心拍数・血漿カテコラミン反応を比較検討した. また高齢者群中の8例において, isosorbide dinitrate (ISDN) 非投与および舌下投与下の起立試験での同反応の解析を行った. 起立試験成績を Schellong 法に準じて判定すると, 高齢者群の1例 (3.1%) は陽性, 2例 (6.3%) は疑陽性を示し, その他の29例 (90.6%) および健常成人群全例は陰性であった. 高齢者群では, 起立時収縮期血圧反応パターンが健常成人群と比べ有意 (p<0.00...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 113 - 118
Main Authors 前島, 悦子, 中野, 博, 外畑, 巖, 森, 紳, 伊藤, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.02.1992
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.29.113

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Summary:65歳以上の高齢有疾患者32例 (高齢者群) および健常成人17例を対象として能動的起立試験を施行し, 血圧・心拍数・血漿カテコラミン反応を比較検討した. また高齢者群中の8例において, isosorbide dinitrate (ISDN) 非投与および舌下投与下の起立試験での同反応の解析を行った. 起立試験成績を Schellong 法に準じて判定すると, 高齢者群の1例 (3.1%) は陽性, 2例 (6.3%) は疑陽性を示し, その他の29例 (90.6%) および健常成人群全例は陰性であった. 高齢者群では, 起立時収縮期血圧反応パターンが健常成人群と比べ有意 (p<0.001) に異なったが, 心拍数反応パターンはほぼ類似であった. 血漿ノルエピネフリン濃度は, 高齢者群・健常成人群ともに起立10分後, 有意 (p<0.001) に増加した. その増加率は, 高齢者群で約1.5倍, 健常成人群では約2倍であり, 前者でより低値であった. また, 高齢者群は健常成人群に比し, 起立前および起立10分後ともに有意 (p<0.001およびp<0.01) に高値であった. 高齢者において, ISDNは起立直後に収縮期血圧を有意に下降させ, 心拍数を有意に増加させた. ISDN舌下投与下の起立に伴うノルエピネフリンの増加は有意 (p<0.05) であった. 以上のように, 高齢者では起立刺激に対する循環系応答が適正でなく, ISDN使用下においてはそれがさらに顕著であることが明らかとなった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.29.113