新生児期Tobramycin静脈内投与における血中濃度と聴力検査の検討 聴性脳幹反応を用いて

アミノ配糖体剤の投与ルートに関して, 現在多く議論されているが, 今回われわれは, 新生児に点滴静注で投与した際の血中濃度につき検討した. 新生児にTobramycinを2.5mg/kg 1 時間点滴静注で12時間ごとに投与し, 血中濃度を測定したところ, peak値は1.80~5.75μg/ml (3.54±1.18) でtrough値は, 0~1.86 (0.50±0.61) であった. peak値は予想より低い値が多かったが, 蓄積性もなく比較的有効な血中濃度がえられた. また, アミノ配糖体剤の副作用としての聴力障害を新生児期に早期診断するために, Anditory Brain ste...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 56; no. 7; pp. 588 - 593
Main Authors 東條, 雅宏, 溝井, 一敏, 森川, 良行, 南里, 清一郎, 堀田, 昌宏, 市橋, 保雄, 秋田, 博伸, 砂川, 慶介, 山下, 直哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.07.1982
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.588

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Summary:アミノ配糖体剤の投与ルートに関して, 現在多く議論されているが, 今回われわれは, 新生児に点滴静注で投与した際の血中濃度につき検討した. 新生児にTobramycinを2.5mg/kg 1 時間点滴静注で12時間ごとに投与し, 血中濃度を測定したところ, peak値は1.80~5.75μg/ml (3.54±1.18) でtrough値は, 0~1.86 (0.50±0.61) であった. peak値は予想より低い値が多かったが, 蓄積性もなく比較的有効な血中濃度がえられた. また, アミノ配糖体剤の副作用としての聴力障害を新生児期に早期診断するために, Anditory Brain stem Responseを用いてみた. Tobramycin投与例7例中1例にABRの異常を認めたが, アミノ酸糖体剤による障害か否かは判別できなかった. しかし現在, 新生児期の聴力障害につき, ほかに他覚的診断法がないため, 経時的にABRを行うことは意義があると思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.588