Diagonal Ear Lobe Crease の動脈硬化判定の有用性についての考察 集団検診受診者における検討より

768名の集団検診受診者を対象として, 耳朶皺襞 (Ear lobe crease, ELC) の有無と動脈硬化の危険因子である肥満, 高血圧, 心電図異常そしてアポ蛋白まで含めた血清脂質代謝との関連性について検討し, 下記の結果を得た. 1. ELC有所見者は, 男性67名, 女性42名の計109名で, 50~80歳で高出現率であった. 2. ELC (+) は男性で出現率が有意に高かった (p<0.01). 3. ELC (+) 群中, 標準体重に比して20%以上の肥満者よりの出現率と±20%以内の正常体重群よりの出現率との間には有意の差は認めなかった. 4. ELC (+) 群にお...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 525 - 531
Main Authors 加藤, 仁志, 赫, 彰郎, 金川, 卓郎, 中沢, 良寿, 渋谷, 敏道, 小林, 陽二, 福生, 吉裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1987
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.24.525

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Summary:768名の集団検診受診者を対象として, 耳朶皺襞 (Ear lobe crease, ELC) の有無と動脈硬化の危険因子である肥満, 高血圧, 心電図異常そしてアポ蛋白まで含めた血清脂質代謝との関連性について検討し, 下記の結果を得た. 1. ELC有所見者は, 男性67名, 女性42名の計109名で, 50~80歳で高出現率であった. 2. ELC (+) は男性で出現率が有意に高かった (p<0.01). 3. ELC (+) 群中, 標準体重に比して20%以上の肥満者よりの出現率と±20%以内の正常体重群よりの出現率との間には有意の差は認めなかった. 4. ELC (+) 群における高血圧者の頻度は, ELC (-) 群における頻度より有意に高値であった (p<0.01). 5. ELC (+) 群における心電図異常者の頻度は, ELC (-) 群における頻度より有意に高値であった(p<0.01). 6. TC, β-LpはELC (+) 群で有意に高値であったが, TRG, HDLCでは有意な差は認めなかった (p<0.05). 7. TC, HDLCより計算した Atherogenic Index はELC (+) 群で有意に高値であった (p<0.02). 8. アポ蛋白の検討では, ELC (+) 群で Apo AI, AIIそして Apo AI/B ratio も有意に低値であった (p<0.1, p<0.05, p<0.1). 9. 年齢, 性を matching させ同様な検討を行った結果, ELC (+) 群で脂質代謝異常, 高血圧者の頻度は有意に高かった (p<0.01). 10. 危険因子同士の組み合わせによる検討では, ELC (+) 群で脂質代謝異常, 心電図異常高血圧の組み合わせおよび脂質代謝異常, 高血圧の組み合わせを有する例が有意に高かった (p<0.01, p<0.05). 以上の結果より, ELCは動脈硬化の一つの徴候であるものと考えられ, ELCの有無判定は動脈硬化の臨床的他覚所見の一つとして有用である. 特に短時間で多数の対象者を診察せねばならない集団検診などで, 動脈硬化のスクリーニングとして有用であると考えられた.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.24.525