特別養護老人ホーム入所者の日常生活動作能力と臨床検査成績との関連

東京都特別養護老人ホーム入所者, 男子111名, 女子206名, 計317名を対象として日常生活動作能力 (Activities of Daily Living: ADL) の調査を実施し, 血圧, 血液生化学所見との関連を追求した. ADLは歩行方法, 歩行範囲, 食事, 着衣, 入浴, 及び用便の6項目に評価点を与え, 13段階に分類した. 対象集団は平均80.5歳 (60~101歳) と高齢者が多く, それらのほとんどが慢性疾患を有している. 主な疾患としては骨・運動器 (36.6%), 脳卒中後遺症 (32.5%), 精神障害 (24.6%) 等である.“ねたきり”,“おむつ使用”の老...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 14; no. 6; pp. 496 - 500
Main Authors 柴田, 博, 松崎, 俊久, 高橋, 重郎, 七田, 恵子, 木戸, 又三, 斉藤, 紀仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1977
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.14.496

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Summary:東京都特別養護老人ホーム入所者, 男子111名, 女子206名, 計317名を対象として日常生活動作能力 (Activities of Daily Living: ADL) の調査を実施し, 血圧, 血液生化学所見との関連を追求した. ADLは歩行方法, 歩行範囲, 食事, 着衣, 入浴, 及び用便の6項目に評価点を与え, 13段階に分類した. 対象集団は平均80.5歳 (60~101歳) と高齢者が多く, それらのほとんどが慢性疾患を有している. 主な疾患としては骨・運動器 (36.6%), 脳卒中後遺症 (32.5%), 精神障害 (24.6%) 等である.“ねたきり”,“おむつ使用”の老人がおよそ3割を占めた. ADLの程度は全体として低い成績であり, 特に男子が女子より低い傾向を示した. ADL評価点はADLの比較的高いもの, 低いものの両極に, より多く分布した. 性別にADLの低い群, 高い群の2群に大別し, ヘマトクリット値, 血色素量, A/G比, 血清総蛋白, 血清コレステロール, 尿酸, 収縮期血圧, 拡張期血圧の平均値で比較すると, 男子はADLの高い群が低い群に比し, すべての検査項目において高値を示し, 血清コレステロールに関しては有意であった. 女子では血清コレステロール, A/G比, 血清総蛋白, 尿酸はADLの高い群に高く, そのうち血清コレステロール, A/G比, 尿酸では有意差が認められた. ADLと血圧の関係では, 概してADLの低い群に比し, 高い群に血圧の高い傾向を認めたが, 女子の拡張期血圧のみは逆の関係であった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.14.496