無症候性脳梗塞の発現と非特異的自覚症状の関係 問診表を用いた脳ドック受診例での検討

めまい, 頭痛など脳循環不全を疑わせる非特異的自覚症状と無症候性脳梗塞 (SCI) 発現との関係を明らかにするため, 脳ドック施設でMRI検査を受診した脳卒中の既往や神経学的異常を有さない例で, 非特異的自覚症状を訴え紹介された外来患者 (P群) 82例 (56±8歳: 平均±SD) と症状を有さない脳ドック例 (D群) 76例 (55±7歳) におけるSCIの発現, 危険因子の合併を検索した. 同時に, 全例に非特異的自覚症状の種類や程度に関する問診表を実施した. P群におけるSCI合併率は18%とD群の7%に比し有意に高値を呈し, 特に症状別の検討では, めまい, 頭痛を訴えてMRIを受診...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 460 - 464
Main Authors 寳學, 英隆, 半田, 伸夫, 松本, 昌泰, 入野, 忠芳, 橋本, 弘行, 鎌田, 武信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.06.1996
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.33.460

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Summary:めまい, 頭痛など脳循環不全を疑わせる非特異的自覚症状と無症候性脳梗塞 (SCI) 発現との関係を明らかにするため, 脳ドック施設でMRI検査を受診した脳卒中の既往や神経学的異常を有さない例で, 非特異的自覚症状を訴え紹介された外来患者 (P群) 82例 (56±8歳: 平均±SD) と症状を有さない脳ドック例 (D群) 76例 (55±7歳) におけるSCIの発現, 危険因子の合併を検索した. 同時に, 全例に非特異的自覚症状の種類や程度に関する問診表を実施した. P群におけるSCI合併率は18%とD群の7%に比し有意に高値を呈し, 特に症状別の検討では, めまい, 頭痛を訴えてMRIを受診した例におけるSCI合併率はそれぞれ40%, 18%と高値を呈した. SCIを合併しためまい例では動揺性めまいを, 頭痛例では頭重感を主とする訴えがほとんどで, これらのうち2/3の例に高血圧を合併した. 問診表による検討では, 動揺性めまいや, もの忘れを強く訴える例においてSCI合併率が有意に高かった. また, 全く症状を有さない例においてSCIを合併した例はなかった. SCI合併例と非合併例との比較では, 合併例において平均年齢が有意に高く, 高血圧の合併率が有意に高かった. 以上, SCI発現において脳循環障害の存在を疑わせる非特異的自覚症状の関与が示された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.33.460