糖代謝異常に対する疫学的アプローチ
昭和51年3月より12月までに戸田市における住民検診を受診した35歳以上の男女2,543名の50g経口ブドウ糖負荷後1時間の血糖値と尿糖を検査した. 血糖値160mg/dl以上, それ未満であっても尿糖陽性の者413名の50g経口糖負荷試験を行いインシュリンを測定した. 次の如き成績を得た. 1) 50gブドウ糖負荷後1時間の血糖値は, 男女とも加齢と共に上昇する傾向を示し, 50歳以上では男より女の血糖値が高かった. 2) 偏相関で血糖値と有意に関連したのは, 男女で年齢, 収縮期血圧, 血清中性脂肪, 女のみで血清総コレステロール, 肥満度であった. 拡張期血圧, 尿酸は男女とも有意な関係...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 16; no. 4; pp. 362 - 367 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.07.1979
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.16.362 |
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Summary: | 昭和51年3月より12月までに戸田市における住民検診を受診した35歳以上の男女2,543名の50g経口ブドウ糖負荷後1時間の血糖値と尿糖を検査した. 血糖値160mg/dl以上, それ未満であっても尿糖陽性の者413名の50g経口糖負荷試験を行いインシュリンを測定した. 次の如き成績を得た. 1) 50gブドウ糖負荷後1時間の血糖値は, 男女とも加齢と共に上昇する傾向を示し, 50歳以上では男より女の血糖値が高かった. 2) 偏相関で血糖値と有意に関連したのは, 男女で年齢, 収縮期血圧, 血清中性脂肪, 女のみで血清総コレステロール, 肥満度であった. 拡張期血圧, 尿酸は男女とも有意な関係を示さなかった. 3) 100mmX線写真における大動脈弓部石灰化, 心電図におけるQ波, T波の変化, 眠底変化 (出血を伴う血管変化) は, 血糖値と一定の関係を示さなかった. 4) 対象中の糖尿病型の出現頻度は男4.3%, 女5.4%と女に高かった. 5) ΔIRI/ΔBS (30分) は, 男女に著明な差を認めず, 正常型0.95±0.98, 境界型0.53±0.53, 糖尿病型0.25±0.26であった. 6) 尿糖陽性者の血糖平均値は, 男 (158±57mg/dl) より女 (201±67mg/dl) に高く, 腎の糖排泄閾値に性差を認めた. 尿糖を糖尿病スクリーニングに用いる場合, このことを銘記すべきである. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.16.362 |