Helicobacter pyloriにおけるclarithromycin耐性機構の解析 in vitro継代培養菌と臨床分離菌の比較
Clarithromycin (CAM) を用いてin vitro継代培養により得られたCAM耐性Helicobacter pyloriおよび臨床分離のCAM耐性株における耐性機構について検討を行った. In vitro CAM耐性株に対するCAMを含む7種類の抗菌薬のMICを測定した結果, 試験に用いた10株中7株にCAMのMICが100μg/ml以上と高度耐性化が認められ, また他のマクロライド薬およびclindamycinに対して交差耐性を示した. 各試験菌の23SrRNAのV領域をPCRにより増幅し, 期待される1.4kbのDNAを用いて制限酵素BSa IおよびMbo IIによるRFL...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 72; no. 9; pp. 918 - 923 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.09.1998
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.72.918 |
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Summary: | Clarithromycin (CAM) を用いてin vitro継代培養により得られたCAM耐性Helicobacter pyloriおよび臨床分離のCAM耐性株における耐性機構について検討を行った. In vitro CAM耐性株に対するCAMを含む7種類の抗菌薬のMICを測定した結果, 試験に用いた10株中7株にCAMのMICが100μg/ml以上と高度耐性化が認められ, また他のマクロライド薬およびclindamycinに対して交差耐性を示した. 各試験菌の23SrRNAのV領域をPCRにより増幅し, 期待される1.4kbのDNAを用いて制限酵素BSa IおよびMbo IIによるRFLP解析を行った.その結果, 元株のCAM感受性H.pyloriから得られた1.4kb DNA断片はすべてBsa Iで1,000bpと400bpの2本に切断されMbo IIでは切断されなかった. 一方, in vitro CAM耐性株では.BSa Iで700bp, 400bp, 300bpの3本かまたはMbo IIで700bp付近の2本のバンドに切断され, 両制限酵素で同時に切断されるものはなかった.また, CAM投薬後に耐性化した臨床分離H.pylori 2株について同様な検討を行った結果, 投薬前に分離されたCAM感受性株はBsa Iで同じ2本に切断されMbo IIでは切断されなかったのに対して, 投薬後に分離されたCAM耐性株はin vitro耐性株と同様の切断パターンを示した. 以上のことからH. pyloriにおけるCAM耐性は23SrRNAをコードする遺伝子のpoint mutationが主な機構であることが強く示唆された. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.72.918 |