短期入院による乳幼児の他覚的精密聴力検査 システムの紹介およびABR, 蝸電図, 聴性定常反応, EABRの検討
われわれは周波数特性を持ち, かつ他覚的な聴力検査である蝸電図検査 (electrocochleography: ECoGと略す), 聴性定常反応 (auditory steady-state response: ASSR) に加えて, 岬角電気刺激によるABR (electrically induced ABR: EABR) とCT, MRIも組み合わせて, 短期間の入院で乳幼児の検査を効率的に行うシステムを考案した。9例の乳幼児を対象にした検討で以下の結果をえた。1. 鼓室内誘導法によるECoGとASSR検査を行うことでABR無反応耳の82%において低音域周波数の域値測定が可能となった。2...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 48; no. 2; pp. 156 - 164 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.04.2005
日本聴覚医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0303-8106 1883-7301 |
DOI | 10.4295/audiology.48.156 |
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Summary: | われわれは周波数特性を持ち, かつ他覚的な聴力検査である蝸電図検査 (electrocochleography: ECoGと略す), 聴性定常反応 (auditory steady-state response: ASSR) に加えて, 岬角電気刺激によるABR (electrically induced ABR: EABR) とCT, MRIも組み合わせて, 短期間の入院で乳幼児の検査を効率的に行うシステムを考案した。9例の乳幼児を対象にした検討で以下の結果をえた。1. 鼓室内誘導法によるECoGとASSR検査を行うことでABR無反応耳の82%において低音域周波数の域値測定が可能となった。2. 鼓室内誘導法によるECoGはASSRよりも反応閾値は5~15dB低く, その差は低音域ほど大きかった。また鼓室内誘導法によるECoGの反応検出率は2倍高かった。3. EABRは人工内耳の適応決定上有用であった。結論として, 本検査システムは, 低音域の聴力を他覚的に推定し, 補聴器の有効性や人工内耳適応の可能性まで予測可能であり, 患児の難聴治療の方向性を予見する上で有用な情報をもたらすものと考えた。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.48.156 |