医療コミュニケーション研究に関する文献検索

I.はじめに 医療コミュニケーションの重要性が認識されるようになって久しいが, 医学界における「コミュニケーション学」という学問領域の認知度は, まだ高いとは言えない. そこで本稿においては, コミュニケーション研究の流れを踏まえ, 研究の動向や当該領域における学術雑誌の特性を概観し, 文献検索上の注意点について述べることとする. II.コミュニケーション学とは コミュニケーション学は, 「文系」領域と見なされたり「行動科学」(behavioral sciences)などと称されたりすることが多い. そのため, 検索データベース選択の際, 「人文科学系」(humanities)や「科学系」(s...

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Published in医学図書館 Vol. 54; no. 3; pp. 236 - 242
Main Author 杉本, なおみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本医学図書館協会 20.09.2007
日本医学図書館協会
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ISSN0445-2429
1884-5622
DOI10.7142/igakutoshokan.54.236

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Summary:I.はじめに 医療コミュニケーションの重要性が認識されるようになって久しいが, 医学界における「コミュニケーション学」という学問領域の認知度は, まだ高いとは言えない. そこで本稿においては, コミュニケーション研究の流れを踏まえ, 研究の動向や当該領域における学術雑誌の特性を概観し, 文献検索上の注意点について述べることとする. II.コミュニケーション学とは コミュニケーション学は, 「文系」領域と見なされたり「行動科学」(behavioral sciences)などと称されたりすることが多い. そのため, 検索データベース選択の際, 「人文科学系」(humanities)や「科学系」(science)を選ぶ利用者が見受けられるが, これは誤りである. コミュニケーション学は社会科学(social sciences)の一領域であり, 「個人内」「対人」「小集団」「組織」「異文化」などの下位領域に分かれる. またテーマ別には, 「教育」「政治」「外交」「家族」などに分かれ, 「医療」に関するコミュニケーションも, 近年特に盛んに研究されている. 医学における「病気」や「健康」の定義と, 医療者以外の一般人が日常会話で用いる「病気」や「健康」の定義が異なるように, コミュニケーション学におけるコミュニケーションの定義は, 一般社会での「コミュニケーション」という語の用法とは異なる.
ISSN:0445-2429
1884-5622
DOI:10.7142/igakutoshokan.54.236