耳下腺癌における頸部リンパ節転移と頸部郭清術 耳下腺癌194例の検討から

耳下腺癌に対する頸部郭清術の適応や郭清範囲について,コンセンサスは得られていない。特にcN0症例に対する予防的頸部郭清術(END)について多くの議論がある。耳下腺癌194例中リンパ節転移が認められたのは51例(26.3%)であった。T分類別のリンパ節転移頻度はT1が6.9%,T2が12.0%,T3が35.7%,T4が53.7%であった。悪性度別では低/中悪性が6.4%,高悪性が52.4%であった。79例に対して予防的頸部郭清術を施行し,うち潜在的リンパ節転移9例(11.4%)に認められた。転移部位を見たとき,転移頻度が高い順に,レベルⅡ,耳下腺周囲,レベルⅢ,レベルⅣの順であった。疾患特異的5...

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Published in頭頸部外科 Vol. 29; no. 3; pp. 251 - 257
Main Authors 河田, 了, 寺田, 哲也, 東野, 正明, 西川, 周治, 神人, 彪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
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Summary:耳下腺癌に対する頸部郭清術の適応や郭清範囲について,コンセンサスは得られていない。特にcN0症例に対する予防的頸部郭清術(END)について多くの議論がある。耳下腺癌194例中リンパ節転移が認められたのは51例(26.3%)であった。T分類別のリンパ節転移頻度はT1が6.9%,T2が12.0%,T3が35.7%,T4が53.7%であった。悪性度別では低/中悪性が6.4%,高悪性が52.4%であった。79例に対して予防的頸部郭清術を施行し,うち潜在的リンパ節転移9例(11.4%)に認められた。転移部位を見たとき,転移頻度が高い順に,レベルⅡ,耳下腺周囲,レベルⅢ,レベルⅣの順であった。疾患特異的5年生存率をN分類で見たとき,N0が87.2%,N1が71.1%,N2が31.6%であった。N+症例の予後は不良であり,耳下腺癌におけるリンパ節転移の制御が重要であることがわかった。予防的頸部郭清術の適応としてT3・T4症例および高悪性症例であると考えた。術前の悪性度診断は困難なため術中迅速診断の活用が有効であると考えた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.29.251