Chlamydia psittaci感染症における血清診断法の検討 実験的クラミジア感染症の作成を含めて

Chlamydia psittaci感染症の診断に, 間接蛍光抗体法 (IFA), 間接免疫ペルオキシダーゼ法 (IIP), 酵素抗体法 (ELISA) を応用し, 検討を行った. またマウスに実験的肺炎を作成し, 菌の消長や病理所見を対比させながら抗体の推移に検討を加え, 以下の成績を得た. 1) IFAとIIPとはr=0.91, IIPとCFとの比較では, ヒトの場合r=0.69, マウスではr=0.95, ELISAとCFとでは, ヒトの場合r=0.65, マウスではr=0.96と良好な相関を示し, ELISA>IIP法>IFA法>CF法の順で感度がすぐれていると考えら...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 60; no. 5; pp. 428 - 442
Main Author 富田, 弘志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.05.1986
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.428

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Summary:Chlamydia psittaci感染症の診断に, 間接蛍光抗体法 (IFA), 間接免疫ペルオキシダーゼ法 (IIP), 酵素抗体法 (ELISA) を応用し, 検討を行った. またマウスに実験的肺炎を作成し, 菌の消長や病理所見を対比させながら抗体の推移に検討を加え, 以下の成績を得た. 1) IFAとIIPとはr=0.91, IIPとCFとの比較では, ヒトの場合r=0.69, マウスではr=0.95, ELISAとCFとでは, ヒトの場合r=0.65, マウスではr=0.96と良好な相関を示し, ELISA>IIP法>IFA法>CF法の順で感度がすぐれていると考えられた. 2) 健康人におけるELISA抗体価128倍以上の保有率は26.6%と, 比較的高率であった. また長崎市における過去10年間の呼吸器感染症患者の抗体保有は, 1981年頃より増加の傾向がみられ, 本感染症の浸淫が示唆された. また, 鳥の飼育者に抗体価高値のものが多く, ELISA抗体価128倍以上の保有率は50%であった. 3) マウスにおけるC. psittaci株の感染実験において, 肺内分離率は3-8日で100%, 10日目に71%, 14日目には43%となり以後漸減した. 感染初期には肺胞性病変が強く, 間質性病変は比較的軽度で, 浸潤細胞は好中球主体であったが, 8-10日目には組織球が主体となり, その後改善が認められた. 血清抗体価は, 6日目頃より上昇をみとめ, 21-28日目にもなお高値を維持した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.60.428