Enterococcus faecalisその他のD群連鎖球菌の分離材料別溶血性, プロテアーゼ活性および各種抗菌剤感受性の比較

D群連鎖球菌の病原性に関与する因子の検索を目的として, 臨床材料からの分離株と健常者糞便由来株の各菌種の分離状況を検討した。また各検査材料より分離されたE. faecalisおよびE.faeciumの溶血性およびプロテアーゼ活性の陽性率, さらにこれらの菌種の薬剤感受性を材料別に比較した。 血液および尿などの病原材料由来株は, その大部分がE. faecalisおよびE. faeciumで, 健常者の糞便由来からはこれら菌種以外に多くの菌種が認められた。 E. faecalisでは血液, 尿, 胆汁などの病原材料由来株の溶血性を示す株は糞便由来の株に比較して高率であった。またプロテアーゼ活性に...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 34; no. 12; pp. 1238 - 1245
Main Authors 小林, 寅哲, 高橋, かおる, 宮崎, 修一, 西田, 実, 草野, 朱美, 鈴木, 美幸, 手塚, 孝一, 佐藤, 弓枝, 五島, 瑳智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1986
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.34.1238

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Summary:D群連鎖球菌の病原性に関与する因子の検索を目的として, 臨床材料からの分離株と健常者糞便由来株の各菌種の分離状況を検討した。また各検査材料より分離されたE. faecalisおよびE.faeciumの溶血性およびプロテアーゼ活性の陽性率, さらにこれらの菌種の薬剤感受性を材料別に比較した。 血液および尿などの病原材料由来株は, その大部分がE. faecalisおよびE. faeciumで, 健常者の糞便由来からはこれら菌種以外に多くの菌種が認められた。 E. faecalisでは血液, 尿, 胆汁などの病原材料由来株の溶血性を示す株は糞便由来の株に比較して高率であった。またプロテアーゼ活性についても同様に血液, 尿および胆汁由来株は糞便由来株よりも陽性株が多く存在した。病原材料由来株では糞便由来株に比べ両活性共に陽性の株が高率に認められた。 E. faeciumでは, 多数の菌株の検討が可能であった尿および糞便由来株を比較すると, 前者の株の方に溶血性およびプロテアーゼ活性ともに陽性を示す株がより高率に認められた。 薬剤感受性においてはE. faecalisの場合糞便由来株は血液および尿由来株に比べ, 試験したすべての薬剤に感受性の株が多く認められた。またE. faeciumでも糞便由来株は尿および胆汁由来株よりもより感受性であった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.34.1238