重症障害児者施設で分離された黄色ブドウ球菌の抗菌剤感受性, 特にMRSAの検出率と抗菌剤使用傾向のあいだの関連について

1. 326名収容の重症障害児者施設の臨床検査材料から1990~1991年に分離された50株の黄色ブドウ球菌の抗菌剤感受性とコアグラーゼ型を調べ, 施設の抗菌剤使用量と対比した。 2. 分離株中58%がメチシリン耐性 (MRSA) であった。Erythromycinに対しては25%が, gentamicinに対しては12%が, そしてchloramphenicolに対しては3%が耐性であったが, minocycline, ofloxacin, vancomycin, sulfamethoxazole-trimethoprim合剤に対する耐性株はなかった。MRSA株の多くは他のペニシリン系および...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inCHEMOTHERAPY Vol. 40; no. 10; pp. 1217 - 1223
Main Authors 平山, 敬子, 楠, 祐一, 吉岡, 一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1992
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.40.1217

Cover

More Information
Summary:1. 326名収容の重症障害児者施設の臨床検査材料から1990~1991年に分離された50株の黄色ブドウ球菌の抗菌剤感受性とコアグラーゼ型を調べ, 施設の抗菌剤使用量と対比した。 2. 分離株中58%がメチシリン耐性 (MRSA) であった。Erythromycinに対しては25%が, gentamicinに対しては12%が, そしてchloramphenicolに対しては3%が耐性であったが, minocycline, ofloxacin, vancomycin, sulfamethoxazole-trimethoprim合剤に対する耐性株はなかった。MRSA株の多くは他のペニシリン系およびセフェム系薬剤, その他のいくつかの抗菌剤に対して高い耐性率を示した。 3. 施設の1年間の抗菌剤使用量は5, 377gで入所者1名あたり平均約17gの使用量であった。ペニシリン系およびセフェム系抗菌剤はこのうち89%を占めた。抗菌剤の使用状況と黄色ブドウ球菌の耐性傾向の間には密接な関連があると思われた。 4. コアグラーゼ型はMRSAは1型が, MSSAはVII型がそれぞれ70%以上を占めた。 5. 臨床検査材料からのMRSAの分離率は高かったにもかかわらず, この期間この施設では重症のブドウ球菌感染症の発生は見られなかった。MRSAの分離率の高いことと院内感染の発生とは分けて考えるべきものと思われた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.40.1217