老年者における急性心筋梗塞後のリハビリテーションと予後
老年者急性心筋梗塞例についてリハビリテーション (以下リハビリと略す) の効果, 影響を検討するため, 対照としてリハビリを施行していなかった期間の心筋梗塞群 (リハビリ(-)群) 53人平均77.1歳と, リハビリを組織的に開始後に入院した心筋梗塞群 (リハビリ(+)群) 84人平均76.1歳とに分け, 予後との関連を検討した. リハビリ(+)群を到達リハビリレベルにより分類すると, リハビリ不能群20人, 軽度リハビリ群15人, 歩行訓練群27人, リハビリ終了群22人であった. リハビリレベル別の合併症の頻度の比較では, リハビリ到達レベル高度の群に梗塞後狭心症が多かった. 心不全の有無...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 27; no. 2; pp. 201 - 205 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.03.1990
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.27.201 |
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Summary: | 老年者急性心筋梗塞例についてリハビリテーション (以下リハビリと略す) の効果, 影響を検討するため, 対照としてリハビリを施行していなかった期間の心筋梗塞群 (リハビリ(-)群) 53人平均77.1歳と, リハビリを組織的に開始後に入院した心筋梗塞群 (リハビリ(+)群) 84人平均76.1歳とに分け, 予後との関連を検討した. リハビリ(+)群を到達リハビリレベルにより分類すると, リハビリ不能群20人, 軽度リハビリ群15人, 歩行訓練群27人, リハビリ終了群22人であった. リハビリレベル別の合併症の頻度の比較では, リハビリ到達レベル高度の群に梗塞後狭心症が多かった. 心不全の有無, 梗塞再発に関しては各群間に有意差はなかった. 退院時運動レベルと梗塞後の合併症との関連を見ると, 狭心症を有する群に於いて有意に運動レベルが高かった. リハビリ(-), (+)の各群の平均3.5年の観察期間中に於いて, 心臓死は各々51%, 41%にのぼった. リハビリ(-)群の平均7.5年の観察期間中, 心臓死は62%であった. リハビリ(+)群の心臓死例26人について, リハビリレベルと生存年数の間にr=0.53 (p<0.01) の正相関が見られた. 梗塞後狭心症を両群で比較するとリハビリ (-) で13%, リハビリ(+)群で42%と, リハビリ(+)群で多かった. 退院時運動能力は, リハビリ (+) 群で高かった. 生命予後の検討では, リハビリ(+)群で生存率が高い傾向があり, 心死率は低い傾向があったが, 有意差は見られなかった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.27.201 |