大学生アーチェリー選手のパフォーマンス向上へのアクセプタンス&コミットメント・セラピー適用事例

本研究はアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のスポーツパフォーマンス向上への効果を検討した。対象者は21歳の大学生アーチェリー選手であり、60分の介入を13セッション実施した。パフォーマンスを測定するためにアーチェリーの得点とACT関連尺度の得点を記録した。対象者は試合中に苛立ちや震えが生じることを自身の問題として挙げた。ACTのエクササイズを実施し、ACTのプロセスの一つである「体験の回避」の問題点を理解し、「価値」に基づいて、実際に行動を生起させていくことを確認した。介入の結果、アーチェリーの得点は向上し、「体験の回避」を扱ったセッションの後に該当する尺度の得点が僅か...

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Published in行動療法研究 Vol. 42; no. 3; pp. 413 - 423
Main Authors 深町, 花子, 石井, 香織, 荒井, 弘和, 岡, 浩一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2016
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Summary:本研究はアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のスポーツパフォーマンス向上への効果を検討した。対象者は21歳の大学生アーチェリー選手であり、60分の介入を13セッション実施した。パフォーマンスを測定するためにアーチェリーの得点とACT関連尺度の得点を記録した。対象者は試合中に苛立ちや震えが生じることを自身の問題として挙げた。ACTのエクササイズを実施し、ACTのプロセスの一つである「体験の回避」の問題点を理解し、「価値」に基づいて、実際に行動を生起させていくことを確認した。介入の結果、アーチェリーの得点は向上し、「体験の回避」を扱ったセッションの後に該当する尺度の得点が僅かに減少した。対象者は試合を楽しむようになり、いらだつこともなくなったと報告した。本研究の結果より、ACTが心理的柔軟性の改善によって、大学生アスリートのパフォーマンスを向上させる可能性を示唆した。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.42.3_413