腹部X 線画像からのガスおよび便領域抽出におけるPseudo-Labeling を用いた事前学習法

慢性便秘症には多様な症状および病態が存在し,適切な治療法の選択にはX線画像から大腸内のガスおよび便の量と所在を把握することが有効である.我々は,U-Netを用いた腹部X線画像からのガスおよび便領域の自動抽出法を提案した.しかし,ガスおよび便領域のアノテーション作業は熟練の消化器内科医でも手間のかかる作業であるため,大規模なデータセットを構築することによる抽出精度向上は困難である.一方で,大規模な高品質アノテーション付きデータを用意することが困難である医用画像セグメンテーションの分野では,半教師あり学習を用いて疑似的なアノテーション付きデータを作成し,データ数の不足を補う研究が多く存在する.そこ...

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Published inバイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 p. 103
Main Authors 高島, 直也, 藤田, 大輔, 佐貫, 毅, 木下, 芳一, 小橋, 昌司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメディカル・ファジィ・システム学会 2025
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Summary:慢性便秘症には多様な症状および病態が存在し,適切な治療法の選択にはX線画像から大腸内のガスおよび便の量と所在を把握することが有効である.我々は,U-Netを用いた腹部X線画像からのガスおよび便領域の自動抽出法を提案した.しかし,ガスおよび便領域のアノテーション作業は熟練の消化器内科医でも手間のかかる作業であるため,大規模なデータセットを構築することによる抽出精度向上は困難である.一方で,大規模な高品質アノテーション付きデータを用意することが困難である医用画像セグメンテーションの分野では,半教師あり学習を用いて疑似的なアノテーション付きデータを作成し,データ数の不足を補う研究が多く存在する.そこで本研究では,半教師あり学習手法のひとつであるPseudo-labelingを用いた腹部X線画像からのガスおよび便領域抽出における事前学習法を提案する.消化器内科医によるアノテーション付き訓練データ217例を用いて学習した場合と,そのモデルを用いて作成した疑似アノテーション付き訓練データ49例を事前学習に用いて同じ訓練データでファインチューニングした場合の2つの条件で実験を行い,結果を比較した.ガス領域の抽出精度はDICE係数でそれぞれ0.780および0.786,便領域ではそれぞれ0.647および0.652となった.いずれの領域においても疑似ラベル付き訓練データによる事前学習を行うことによる精度の向上が見られ,本研究におけるPseudo-Labelingを用いた事前学習法の有効性が確認できた.
ISSN:1345-1510
2424-2586
DOI:10.24466/pacbfsa.37.0_103