複数の開腹手術後に発症した被嚢性腹膜硬化症(EPS)の1例

症例は70歳代後半,男性.過去に複数回の開腹手術歴を有していた.平成17年11月下旬より嘔吐が出現し,同年12月初めに当院受診.受診時,腹部は膨満軟で,下腹部に圧痛を認めた.腹部CTスキャン検査にて遊離ガス像と拡張した小腸を認め,腸管穿孔を伴うイレウスと診断し,同日緊急手術を施行した.開腹すると,肥厚した線維性被膜が小腸全体を被覆しており,一部で壊死に陥った小腸が線維性被膜を通して透見された.術中所見より絞扼性イレウスを伴った被嚢性腹膜硬化症(以下EPS)と診断し,癒着剥離術と小腸部分切除術を施行した. 本症例は複数の開腹手術が原因となり発症したEPSであり,比較的稀な病態と思われる.絞扼性イ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 7; pp. 2162 - 2165
Main Authors 服部, 昌和, 道傳, 研司, 宮永, 太門, 木村, 洋平, 伊藤, 祥隆, 平沼, 知加志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2162

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Summary:症例は70歳代後半,男性.過去に複数回の開腹手術歴を有していた.平成17年11月下旬より嘔吐が出現し,同年12月初めに当院受診.受診時,腹部は膨満軟で,下腹部に圧痛を認めた.腹部CTスキャン検査にて遊離ガス像と拡張した小腸を認め,腸管穿孔を伴うイレウスと診断し,同日緊急手術を施行した.開腹すると,肥厚した線維性被膜が小腸全体を被覆しており,一部で壊死に陥った小腸が線維性被膜を通して透見された.術中所見より絞扼性イレウスを伴った被嚢性腹膜硬化症(以下EPS)と診断し,癒着剥離術と小腸部分切除術を施行した. 本症例は複数の開腹手術が原因となり発症したEPSであり,比較的稀な病態と思われる.絞扼性イレウスを発症した機序もあきらかではなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2162