当院における乳癌患者対象のBRCA1/2遺伝学的検査の病的バリアント検出率に関する検討

BRCA1/2遺伝学的検査が条件をもとに保険適用で行われているが,その条件別の病的バリアント検出率に関する報告はない.そこで本調査では,条件別の検出率を調査した.対象は,2020年4月から2022年1月までに当院の臨床遺伝科に紹介された177人の受診者(うち153人が受検者)である.そのうち,病的バリアントが検出されたのは15人(9.8%)であった.とくに,複数条件を満たす患者の検出率は高く,67人中12人(19.7%)だった.乳癌の家族歴のみを条件とした場合, 病的バリアントが検出された患者は36人中0人だったが,他の一部の条件を同時に満たす場合では,検出率の増加が認められた.調査結果から,...

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Published in遺伝性腫瘍 Vol. 25; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 大髙 理生, 田嶋 敦, 梨本 実花
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 04.07.2025
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ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.25.1_1

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Summary:BRCA1/2遺伝学的検査が条件をもとに保険適用で行われているが,その条件別の病的バリアント検出率に関する報告はない.そこで本調査では,条件別の検出率を調査した.対象は,2020年4月から2022年1月までに当院の臨床遺伝科に紹介された177人の受診者(うち153人が受検者)である.そのうち,病的バリアントが検出されたのは15人(9.8%)であった.とくに,複数条件を満たす患者の検出率は高く,67人中12人(19.7%)だった.乳癌の家族歴のみを条件とした場合, 病的バリアントが検出された患者は36人中0人だったが,他の一部の条件を同時に満たす場合では,検出率の増加が認められた.調査結果から,複数条件を満たす場合に検出率が高くなることが考えられた.また,乳癌の家族歴がある場合には,それ単体での事前確率は低いと考えられるが,それ以外の条件をいくつ満たすのかを確認することでリスク評価が可能となり,自己決定支援に繋がると考えられる.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.25.1_1