冠動脈バイパス術後メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)縦隔洞炎に対し持続陰圧吸引 vacuum assisted wound closure (VAC)療法が有効であった1例

症例はII型糖尿病の既往があり,血糖コントロールが良好であった73歳男性で狭心症,左主幹部を含む重症3枝病変の診断にて心拍動下冠動脈バイパス術3枝(左内胸動脈-左前下行枝,右内胸動脈-高位側壁枝,右胃大網動脈-後下行枝)を施行した.術後,第11病日目に正中創部の哆開および膿の排出を認めた.感染創部よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下MRSA)が検出されたため,正中創部掻爬,胸骨ワイヤー抜去術を施行した.感染は胸骨にまでおよびMRSA縦隔洞炎と診断した.術後,感染が遷延するため,第35病日より持続吸引(VAC : vacuum assisted wound closure)療法を開始した.その...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 248 - 251
Main Authors 湯田, 淳, 野地, 智, 舘林, 孝幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2009
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.38.248

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Summary:症例はII型糖尿病の既往があり,血糖コントロールが良好であった73歳男性で狭心症,左主幹部を含む重症3枝病変の診断にて心拍動下冠動脈バイパス術3枝(左内胸動脈-左前下行枝,右内胸動脈-高位側壁枝,右胃大網動脈-後下行枝)を施行した.術後,第11病日目に正中創部の哆開および膿の排出を認めた.感染創部よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下MRSA)が検出されたため,正中創部掻爬,胸骨ワイヤー抜去術を施行した.感染は胸骨にまでおよびMRSA縦隔洞炎と診断した.術後,感染が遷延するため,第35病日より持続吸引(VAC : vacuum assisted wound closure)療法を開始した.その後,感染は消退傾向となり,肉芽も徐々に形成してきた.VAC療法開始後,第208病日にはVAC療法を中止し,開放創部も自然治癒したため,第213病日に軽快退院となった.組織破壊性が強く,難治性の開心術後MRSA縦隔洞炎に対するVAC療法は有効であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.38.248