がん患者の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデルの開発

目的:がん患者の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(NSSDM)の有効性を明らかにすることである. 方法:対照群のがん患者は通常のサポートを受け,介入群のがん患者はNSSDMを用いた意思決定サポートを受けた.介入効果の判定は,不安尺度(STAI)と葛藤尺度(DCS)を用いて測定した. 結果:研究に参加したがん患者は,対照群28名,介入群26名であった.STAIは面談前と面談後に有意な改善は認められなかった.DCSは下位尺度の較差において「情報」が有意に悪化(p=0.02)し,「価値の明確さ」は有意に改善(p=0.031)したが,価値の明確さは面談前に介入群の得点が有意に高かった....

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 35; pp. 277 - 285
Main Author 川崎, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本看護科学学会 2016
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Summary:目的:がん患者の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(NSSDM)の有効性を明らかにすることである. 方法:対照群のがん患者は通常のサポートを受け,介入群のがん患者はNSSDMを用いた意思決定サポートを受けた.介入効果の判定は,不安尺度(STAI)と葛藤尺度(DCS)を用いて測定した. 結果:研究に参加したがん患者は,対照群28名,介入群26名であった.STAIは面談前と面談後に有意な改善は認められなかった.DCSは下位尺度の較差において「情報」が有意に悪化(p=0.02)し,「価値の明確さ」は有意に改善(p=0.031)したが,価値の明確さは面談前に介入群の得点が有意に高かった. 結論:NSSDMは価値の不明瞭さを低下させるという効果の可能性が示唆されたが,今後さらなる検討が必要である.一方,患者の中に新たな情報が増えることによりそれに対する葛藤が生まれる可能性もあることが示唆された.
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.35.277