原発性肺腺癌の組織学的多彩性とグレード分類

肺癌は癌死の原因の上位を占める高悪性腫瘍の一つである.その中で最も多くを占めているのが肺腺癌であり,その割合は徐々に増加してきている.肺腺癌は多彩な組織像を示す.その大多数を占める浸潤性非粘液性腺癌は5 つの亜型にわけられる.2015 年のWHO分類では5 つの組織パターン(置換型,腺房型,乳頭型,微小乳頭型,充実型)が定められ,最も優位なパターン増殖を持って置換型腺癌,腺房型腺癌,乳頭型腺癌,微小乳頭型腺癌,充実型腺癌と分類され予後との強い相関を認めた.しかしながら,優位組織パターン以外でも微小乳頭型または充実型の存在や複雑腺系型の出現により,2021 年のWHO 分類では最も優位なパターン...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 77; no. 1; pp. 1 - 14
Main Author 栁川, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 01.05.2025
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ISSN0021-3284
2434-0855
DOI10.24750/iwateishi.77.1_1

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Summary:肺癌は癌死の原因の上位を占める高悪性腫瘍の一つである.その中で最も多くを占めているのが肺腺癌であり,その割合は徐々に増加してきている.肺腺癌は多彩な組織像を示す.その大多数を占める浸潤性非粘液性腺癌は5 つの亜型にわけられる.2015 年のWHO分類では5 つの組織パターン(置換型,腺房型,乳頭型,微小乳頭型,充実型)が定められ,最も優位なパターン増殖を持って置換型腺癌,腺房型腺癌,乳頭型腺癌,微小乳頭型腺癌,充実型腺癌と分類され予後との強い相関を認めた.しかしながら,優位組織パターン以外でも微小乳頭型または充実型の存在や複雑腺系型の出現により,2021 年のWHO 分類では最も優位なパターンと高悪性度パターン(微小乳頭型,充実型,複雑腺系型)を組み合わせた分類が発表され,予後予測により優れていた.肺腺癌の組織形態は予後とダイナミックに関連しており,形態学の有用性を改めて認識するものであった.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.77.1_1