クロシデムシ(甲虫目, シデムシ科)に便乗するヒゲダニに関する研究, I(英文)

クロシデムシNicrophorus concolor Kraatz は日本から北部インドやヒマラヤにかけて広く分布する大形の甲虫で,小形の脊椎動物の死体を土中に埋めてそれに産卵し孵化した幼虫の給餌を行うなど興味深い習性をもつことが知られている.我々は日本各地と国外の数ヶ所で採集されたクロシデムシ成虫の多数の個体を調べて体表に付着しているヒゲダニ科の第2若虫を集め,つくば市で腐肉トラップからクロシデムシとともに得られた材料も含めて,分類学的に検討した.その結果,現在までに7 種を明瞭に識別することができ,その全てが未記載種であることを確認した.この第1 報では日本,韓国,沿海州およびチベットから...

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Bibliographic Details
Published in日本ダニ学会誌 Vol. 15; no. 2; pp. 129 - 138
Main Authors 田神, 一美, 黒佐, 和義
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本ダニ学会 2006
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ISSN0918-1067
1880-2273
DOI10.2300/acari.15.129

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Summary:クロシデムシNicrophorus concolor Kraatz は日本から北部インドやヒマラヤにかけて広く分布する大形の甲虫で,小形の脊椎動物の死体を土中に埋めてそれに産卵し孵化した幼虫の給餌を行うなど興味深い習性をもつことが知られている.我々は日本各地と国外の数ヶ所で採集されたクロシデムシ成虫の多数の個体を調べて体表に付着しているヒゲダニ科の第2若虫を集め,つくば市で腐肉トラップからクロシデムシとともに得られた材料も含めて,分類学的に検討した.その結果,現在までに7 種を明瞭に識別することができ,その全てが未記載種であることを確認した.この第1 報では日本,韓国,沿海州およびチベットから得られた1 種をPelzneria uncinata と命名,記載する.この種は宿主の体上では大多数が鞘翅の裏面と下翅に見出され,形態的には1)前体部背面の前縁が明らかに硬化し濃色であること,2)後体部背面のd1,e1,h1の3 対の毛が他の毛よりもかなり長く,末端部に数本の微棘を持つこと,3)第3 脚転節の毛wが短小で長さがその挿入点における転節の幅を超えないことなどで同属の既知種から容易に識別できる.
ISSN:0918-1067
1880-2273
DOI:10.2300/acari.15.129