内頸動脈瘤クリッピング時のsuction decompressionにより一過性に視覚誘発電位(VEP)が平坦化した1例

症例は50歳代,女性。未破裂の右内頸動脈瘤に対して開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術が施行され,術中神経モニタリング(intraoperative neurophysiological monitoring; IOM)として視覚誘発電位(visual evoked potential; VEP)を行った。クリッピング術中にsuction decompressionにおいて,テンポラリークリップで血流を遮断した際に右眼刺激のVEP波形が平坦になったが,血流遮断を解除したところすぐに波形は回復した。本症例において患側の右眼刺激のVEP波形だけが平坦化した原因は,suction decompressio...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 2; pp. 395 - 400
Main Authors 小堀, 哲雄, 関口, 友見, 齋藤, 久美子, 齊藤, 寛浩, 高嶋, 浩一, 中山, 泰政, 黒川, 暢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.04.2019
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.18-106

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Summary:症例は50歳代,女性。未破裂の右内頸動脈瘤に対して開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術が施行され,術中神経モニタリング(intraoperative neurophysiological monitoring; IOM)として視覚誘発電位(visual evoked potential; VEP)を行った。クリッピング術中にsuction decompressionにおいて,テンポラリークリップで血流を遮断した際に右眼刺激のVEP波形が平坦になったが,血流遮断を解除したところすぐに波形は回復した。本症例において患側の右眼刺激のVEP波形だけが平坦化した原因は,suction decompressionにより右内頸動脈から分岐する右眼動脈の血流が低下し,視神経への栄養障害を反映したことが考えられる。術後の重篤な視機能障害を回避するためにVEPモニタリングは有用であり,テンポラリークリップをかけて一時的に血流遮断を行う際には,VEPの連続記録を行う必要がある。そして波形が少しでも不明瞭になった場合は,速やかに術者に伝えることが重要である。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-106